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公認会計士試験合格で息子が大人に

今週のお題「大人になったなと感じるとき」

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 息子が大人になったと思う時

 知人に言わせると、自分の息子が大人になれたのは、試験に合格したおかげだそうです。そう言えば、もう何年も前の秋の日を思い出しました。あの時知人は感慨深げに、興奮してこういいました。「うちの息子があろうことか、公認会計士の試験に合格したの!」。あの難しい試験に合格するなんて信じられないし、夢のようです。でも、試験に合格したからと言って、これから夢の続きは果たしてどうなるのかと疑問にも思いました。そんなにうまくとんとん拍子に行くものなのか。思えば、息子が公認会計士を目指すと家族の前で宣言した時、みんなで反対しました。なぜなら資格を取ってもいい給料がもらえるわけでもなく、待遇もよくないと評判が悪かったからです。家族だけでなく、親戚の誰に聞いても、「やめたほうがいい」と息子の挑戦を阻む意見ばかりでした。そのころちょうどテレビで公認会計士の仕事の実態を取材していました。それを見ていたら、長時間労働で給料も他の職種とたいして変わらないことがわかったのです。だから皆が猛反対するのは当然のことだったのです。

 でも当の息子は、「今まではそうでもこれからはきっとよくなるよ」と反論しました。今にして思えば、この時の息子の判断は正しかったわけですが、周りとしては今の状況しか見えなかったのです。その点でいえば、息子はこれから先を見通す洞察力に優れていたのかもしれません。

きっかけは当時の仕事に嫌気がさしたから

 知人の息子は当時証券会社に勤めていて、ちょうど仕事に嫌気がさしていたところだったのです。会社から帰って来るとやたらと家族の前で愚痴を言うのです。「人を騙して証券を客に売るなんて」とかなんとか、わけのわからないことをつぶやいて周りを困惑させるのです。たまらず知人は言いました、「じゃあ、あんたはどうしたいの?」。すると息子は「会社を辞めたい、でもそれには何か資格を取らなきゃ」と本音を語りました。それで、資格が即就職に結びつく資格、つまり難関の公認会計士を目指すことになるのです。

 勉強を初めて半年たったころ、模擬試験を受けに行くと、あまりの難しさに恐れをなして途中で逃げ帰りました。リーガルマインドの通信講座を受講していたのですが、問題を解くスピードが足りないのを痛感したのです。それでも会社を辞めたいのですから勉強を中断するという選択肢はありませんでした。何かやむに已まれぬ事情があると、ぐうたらな人間でも努力をしなければならないようです。3年目に入ると、仙台に転勤になることが決まって、結果的にその環境がプラスに働いたのです。我が子ながら、たいして頭がいいわけでもないのに、運がいいとしか思えない、知人がそう言う息子は1年もすると家に帰ってきました。一次試験に合格したから会社を辞めて、家で勉強するのだと勝手なことを言います。息子は無職になってしまったわけで、これから、さてどうなるのか。誰もが二次試験に合格できるわけではありません。まさに天国と地獄の分かれ目なのです。

仕事が息子を自立させ、大人にした

 はっきり言って、知人の息子は精神的には親から自立していたのですが、経済的に自立はしていませんでした。生活の面では親に依存していて、仕事の面でも真剣さが足りなかったのです。そんな息子の人生は試験に合格して、本人も驚き、戸惑うほどに変わったのです。試験の合格者には監査法人からの入社案内が次々と送られてきて、どこに行こうかと悩む日々が待っているだなんて。気づけば、崖っぷちにいたはずの自分が優位に立っているなんて、とても信じられないのです。

 知人が特に言いたいのは、難関試験に合格することは、こんなにも人の人生を変えてしまうものなのかということです。パソコンでの合格者発表には氏名と年齢、職業等が明記されているのですが、無職の人がほとんどです。その中でも目を引いたのはたった一人いた会社員の合格者の方で、その方は本当に偉いというか、すごいとしか思えないのだとか。

 いずれにせよ、知人の今の思いは、息子がこれでやっと大人になってくれて天にも昇る気持ちなのだそうです。子供の頃から喘息であんなに苦しんだ息子が今はちゃんと仕事ができている、そのことが奇跡としか思えません。親として何よりも嬉しいのです。

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