人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

謝らない外国人とストックホルムのホテル

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 あの言葉を使い過ぎではないですか

 先日のエッセイで写真家の長島有里枝さんが嫌いな言葉は、「大変申し訳ございませんでした」なのだと書いていました。いかにも”魔法の言葉”でもあるかのように、あらゆる場面で使われているのに閉口するのだそうです。あの言葉を出しておけば、「もう誤ったのだから、何も言わないでね」とこちらの言い分をシャットアウトする圧力を感じるのだと。普通はお客様対応の言葉として、社交辞令のように使われるのですが、身近な隣人にまで使われてしまう。「ごめんなさい」程度のことなのにメールで「大変申し訳ございませんでした」と送られてショックだった。そんなに真剣に謝らせるようなことを言ってしまったのかと罪悪感を感じて悩んでしまった。

謝るのが嫌い?

 長島さんはアメリカで暮らした経験から『簡単に謝らないことは責任を取ることの一つ』だとどこかで思っているのだという。だから、謝り嫌いなのだそうだ。その点で「大変申し訳ございませんでした」は交渉や話し合いを通じて相手との関係を築きたい長島さんを拒絶する言葉でしかないのだと。

 自分はどうかと考えてみると、とりあえず謝ってしまうことが多いと思います。自分から先に謝ってしまった方が後から面倒なことに巻き込まれずに済むと考えるからです。なぜなら、過去にどちらが悪いかなんて白黒をつけようとしたら予想外の嫌な思いをした経験から学んだからです。私の場合は、あの最高の丁寧言葉ではなく「すみませんでした」程度のものを多用する傾向にあります。

外国人は謝らない

 よく言われることですが、外国人はあまり「I'm sorry. 」とは言わないそうです。確かに外国に行って、例えばホテルではどれだけあちら側に落ち度があったとしても、彼らは謝らないのです。まあ、こちらも外国ではそんなものらしいと諦めてはいるのですが。文句を言ったところで、相手にされないか、あるいは鼻で笑われるだけなのですから。よく旅行のガイドブックに「日本人は我慢しないでもっと言うべきでは」とありますが、残念ながら相手は応じてくれません。

別のホテルに泊まって欲しい?

 そんな私も「これだけは納得いかない」という事態に遭遇したことがあります。それはスウェーデンストックホルムのホテルにチェックインしようとした時のことです。そのホテルは森の中にある静かなコテージで、屋根裏部屋タイプで広いバルコニーのついた部屋がとても人気がありました。Bookiing com のサイトで2泊確かに予約して、ホテルのレセプションで予約確認書も見せました。それなのに、1泊は部屋があるが、もう1泊は別のホテルに泊まってほしいというのです。「予約確認書を指さして確かに予約したのに、なぜ?」と聞いても、理由を教えてくれません。「部屋が満室だから」の一点張りで謝罪の言葉なんてありません。それどころか、「うちと同クラスのホテルだし、タクシーで送るから」と自分たちに都合のいい提案を押し付けてくるではありませんか。

 一瞬、こんな理不尽な提案は受けられないと思いましたが、ここでゴネたら後で嫌な思いをするだけだと彼らの言うとおりにしました。翌朝、ホテルのレストランでコーヒーを飲みながら待っていると、タクシーが来て別のホテルに連れて行ってくれました。あとから考えると、コーヒー1杯とタクシー代が彼らの私に対する「謝罪」に相当するらしいのです。しかし、幸運にも送ってもらった別のホテルの方が、スーパーもレストランも近くにあって便利だったんです。あのホテルの周りは自然がいっぱいだったのですが、近くにスーパーらしきものはなかったので。

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