人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

コロナを忘れさせてくれた新聞の投書

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連休が明けて変化が起きて

 「ねえ、今朝の地下鉄は信じられないくらい混んでたよ。いつもはガラガラなのにどうしちゃったのかなあ」。東京に住む友達からメールが送られてきました。外出自粛が延長されたばかりですが、連休の後はやはり出勤せざるを得ないらしいのです。一方、”5月6日まで休みます”と張り紙をしていた飲食店も次々と営業を再開しているらしいのです。お昼にちらっとのぞいてみたらお客さんはひとりだけで、気軽に入れる雰囲気ではないし、やはり抵抗があります。すでに頭の中に『三密は避ける』という固定観念が出来上がってしまっています。それに、テレビや新聞などの報道でコロナの恐ろしさを思い知らされています。これがトラウマというなら、コロナ終息後にトラウマから解放されるのはどれほどの時間がかかるのかは想像もつきません。

 そんなことを思っていたら、夕方ふと通りかかった酒屋で見た光景は目を疑うものでした。ここの酒屋は以前から立ち飲みをやっていて、ふらっと気軽に立ち寄り、飲んでおしゃべりを楽しむ場所でした。たしか昨日までは閉まっていたのに、今目の前にあるのは狭い店内でお酒とおしゃべりを楽しむ人たちの姿でした。明らかに三密ですが、行動の自由を奪われた身にとってはもう自粛も限界なのかもしれません。お酒は一瞬なりとも感染の恐ろしさを忘れさせてくれ、ストレス発散につながるのでしょうか。

高齢になっても変わらない父親との絆

 先日、いつものように朝刊を読んでいたら、”ひととき”欄に78歳になっても父親を想う女性の投書に目が留まり一気に読んでしまいました。『夜中に目が覚めて涙が出た。川の流れを見つめる父の背が、蘇ってきたからだ』。子供の頃、無医村の医者だった父親の姿が何年たっても頭から離れないというのです。その日は父親の患者さんが亡くなられた日だったそうで、『その背は、すべてのものを寄せつけない硬い板のようだった』と回想しています。この方と父親とは大の本好きということで固い絆で結ばれているようです。村に本屋がなくて嘆く女性に、父親は『どんなことをしても取り寄せてあげるから』とすまなさそうにつぶやきました。その悲しそうな顔を今でもはっきりと覚えているそうです。

 この女性は筋金入りの本好きで、それを証明するエピソードは教員を呆れさせ、諦めさせたというから驚きです。小学生の頃、休み時間に教室に残って本ばかり読んでいた女性に、担任は腹を立てて運動場にひき釣り出したそうです。それでも女性は運動場の真ん中で立ったまま本読んでいたというのですから、教師のことなど意に介せず我が道を行く「信念の人」です。先生に『もうあきらめた』と言わせた本への情熱はすさまじいものがあります。この女性はこれまでどんな人生を送ってこられたのか、実に興味津々です。そして年をとっても『今でも本のない日常は考えられないよ!』と天国の父親に呼びかけて「寂しい」気持ちをぶつけているのです。『きっと天国で本を読んでるよね。お父さんと本の話をしたいよ~』と今なお父親との絆は固いのだと感心します。いいえ、むしろ羨ましいくらいの父親への想いに圧倒されたのです。

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