人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

焼き芋とアパートの思い出

今週のお題「いも」

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 冬の寒さを感じるようになると食べたくなる

 朝晩はだいぶ寒くなりましたが、日中は暑くも寒くもなく過ごしやすい日が続いています。贅沢を言えば、夜布団に入るときは暑いように感じ、夜中に急に寒くなるのには参ってしまいます。何とかならないものか、おかげで朝起きたときは頭が痛くて風邪薬を飲んでしまいます。でも毎回クスリを飲んでいるわけにもいかないので、今日は飲まずに散歩に行ったら治ってしまいました。

 やがて冬が、空気が張り詰めた、きっぱりとした冬がやって来たら、焼き芋の季節です。冷え切った空気の中に立ち上る湯気、ホクホクでアツアツの焼き芋が美味しい。カイロ代わりに冷たい手を温めてくれるし、食べるのに時間がかかるのも嬉しい。幸せな時間が長く続くからいいのです。自動販売機のお汁粉やコーンスープだったらそうはいかないし、缶だけ熱くて中身はそれほどでもないからです。

 焼き芋と言うと、私にとっては東京のアパートで仲良しだった人たちとの思い出と切り離すことはできません。あれはまだ若い頃、クリーニング店の2階にあるアパートに住んでいた時でした。引っ越した時に挨拶に行ったのがきっかけで二人の女の子たちと知り合ったのです。

いつも唇に海苔が付いていて

 一人は佐賀県から出てきて着物の専門学校に通っていたスズメちゃんです。もちろんあだ名なのですが、3人で彼女の部屋に集まっておしゃべりしていたら、突然スズメが入ってきたんです。スズメはさんざん逃げ回り私たちもパニックになって、その場はてんやわんやになりました。その事件以来、本名でなくそのあだ名で呼ぶことになったわけです。

 今でも覚えているのは唇にいつも海苔がくっついていたことです。「ねえ、口に海苔が付いてるけど」とよくからかったものです。珍しいことにほくろなのですが、知らない人は誤解してしまいます。さらに興味深いことに、彼女の実家は海苔の養殖をしているので、唇にほくろを付けて生まれてきたことに運命的なものを感じてしまうのです。東京に出してもらえたから家族にはとても感謝していると話していたスズメちゃん。だから真面目に学校の課題に取り組んでいて、部屋を訪ねるといつも縫物に精を出していた記憶があります。

孤独な3人が集まって焼き芋を

 もうひとりは大学に通っているけど、当時は失恋から立ち直れずにいたナオちゃんでした。彼女は自分の話を聞いてくれて、気軽にワイワイやれる仲間が欲しかったらしいのです。今の若い人たちはどうなのでしょうか、当時は同じアパートの住人だからか、仲良くするのは当たり前のことでした。付き合った方が孤独なもの同士で助け合えるし、本当に楽しかったのです。夜中に吉野家に牛丼を食べに行ったこともありましたが、冬は焼き芋が一番でした。「石焼き芋~」のあの声を聞いたら、「食べたいね」となり3人とも考えることは同じでした。美味しいものを食べてその気持ちを共有できた、その経験は時が流れても忘れることはありません。

 最近知ったのですが、さつまいもを干した「干し芋」にも丸干しというものがあります。これはさつまいもを丸ごと干したものなのですが、信じられないほど柔らかくて甘味あって美味しいのです。普通の干し芋とは一線を画しています。もちろん、値段も高いのですが、先日スーパーで売れなくて値下げしたものを買ってみました。食べてみると、まるで焼き芋を食べているような感覚に襲われました,熱くないのに。それにしても、さつまいもは手を加える方法次第でこうも変われるとは、実に魅力的な野菜です。

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