人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

入浴剤を日替わりで楽しむ

今週のお題「お風呂での過ごし方」

f:id:mikonacolon:20211008135658j:plain

▲湖水のエメラルドが美しいラグーナ・ベルデ。NHKまいにちスペイン語テキストから。

気分転換に入浴剤を入れてみたら、楽しくなって

 今はほとんど湯船に入浴剤を入れないのですが、以前はやたらに凝っていたことがあります。何がきっかけでそうなったのかはわからないのですが、あの頃はテレビでもたくさんCMをやっていました。一番お馴染みなのはバスクリンで、夏にはクールバスクリンなんてものもありました。一日の疲れ取ってくれるバブは炭酸ガスが効くのだそうで、何度もCM を見ていると無意識のうちに情報が刷り込まれるのです。そう言えば、バスロマンという名前の入浴剤もあって、グラビアイドルで人気があった細川ふみえさんがお風呂で踊っていました。私が今も覚えている入浴剤は色がきれいで香りがとてもいいタイプのものです。例えば、ヨモギの湯は綺麗な黄緑色、桜の湯はピンク、桃の湯はオレンジ色で日替わりで楽しんでいました。「日本の名湯」とパッケージに書かれている入浴剤も試してみたりして、一瞬でもその場所に行った気になっていました。入浴剤で旅気分になり、たいしてお金もかけずに一人で盛り上がっていたのです。

 その頃はドラッグストアに行くのが楽しみで、何かよさそうな珍しい入浴剤はないかと探していました。外国の物はバスソルトと言って、値段も高くて、深海の何とかとか名前も魅力的なものがたくさんありました。でも私のお気に入りは淡い香りの入浴剤で、最初お湯に入れた時はいい匂いがするのですが、残念なことにすぐに消えてしまうのです。もっと香りが長続きすればいいなあとその時は思っていたのですが、香りが匂い立つその一瞬が最高だったのだと今ならわかります。入浴剤に凝っていた時の私は旅行先にもラベンダーの香りのするものを持って行きました。長野の白馬にあるペンションでの一夜のバスタイムを満喫したのでした。

 あんなに入浴剤に夢中になったのに、不思議なことに今は全く興味が湧いてきません。それに入浴剤をやめた理由もはっきり覚えていません。今は何も入れない透明なままのお湯が好きで、何かを入れるとすれば、冬至のゆず湯ぐらいです。あれはゆずの自然な匂いがして、なんだかとてもい気持ちになれるからです。中国ドラマを見ていると、貴妃の入浴シーンでは必ず溢れんばかりの花びらが使われています。ドラマの演出だとわかっていてもその贅沢さにため息が出てしまいます。花がもったいないというよりも、どんな気分なのだろうと想像してしまうのです。

 入浴剤で忘れられないのは、ロシアのモスクワで買った色とりどりの美しいバスソルトです。モスクワの地下鉄駅に隣接したショッピングセンターの中に化粧品を売る店がありました。その店はどうやらヨーロッパでも有名なチェーン店のようでした。黒とピンクを組み合わせたデザインとスタイリッシュな雰囲気に惹きつけられて、店の入口まで行ってしまいました。そこに居たのはスーツをぴっしりと着こんだ二人の精悍な男性二人でした。私たちがどうしようかと戸惑っていると、すかさず店のカゴを渡してくれるのです。つまり、彼らは店に雇われた警備員で、店の売り上げに貢献する役目も担っているのでした。何かの本で読んだことがありますが、人はカゴを持っているとついつい購買意欲が増す傾向があるのだそうです。

 私たちも例外ではなく、店に並べてあった美しい円いものに魅了され、カゴの中にどんどん入れました。外見はクリスマスのオーナメントのようで、宝物のようにきらきらと光っている塊、それらはバスソルトでした。こんな美しい物が買えた喜びでウキウキし、帰国して家のお風呂で試すのを楽しみにしていました。ついにその時がやってきて、想像した通りお湯に入れたらすごくいい匂いがして大満足でした。ところが、問題はその後で、お湯を流して浴槽を洗おうとしたら、ヌルヌルがなかなか落ちないのです。そう言えば、入浴後に身体が少しべたつく感じがしたのは思い過ごしではなかったわけです。それで、そのバスソルトは脂分が多すぎるのだということに気付いたのでした。

mikonacolon