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ぬるいビールが体にいい?

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▲チリのパタゴニアNHKまいにちスペイン語5月号のグラビアから。

ビールはキンキンに冷えたのが当たり前と思ったら

 先日のラジオのNHK中国語講座を聞いていて、私は長年の疑問が解けた気がしました。それはなぜ海外のスターバックスにはアイスコーヒーがないのかということでした。というよりも真夏のヨーロッパやアフリカのモロッコにもホットコーヒーしかなくて、こんなに暑いのだから、さぞかし冷たい物が飲みたいのだろうにと勝手に解釈していたのです。日本では冬でもアイスコーヒーを飲む人がいるというのになぜなのか、ずうっと不思議で仕方ありませんでした。テレビでも誰も問題にしてくれないので、郷に入らば郷に従えとそんなものだと自分に言い聞かせていたのです。

 番組の中で勉強が終わり、少し時間が空いて、先生とホストの劉くんとセイラさんの3人でフリートークをした時でした。いつもカバンの中に持ち歩いているものという質問で、セイラさんは飲み物が入ったボトルと答えました。それが冷たい飲み物であれば何の問題もありませんでした。でも意外なことにその中身は暖かいお湯だったので、先生が「冷たい水ではないのですか?」と驚いて聞き返しました。するとセイラさん曰く、「できれば冬も夏も冷たいものはあまり飲みたくないのです」。たとえ真夏であっても、いつも何か暖かい飲み物が飲みたくなるのだそうです。

 その理由は子供の頃父親がよく「ビールはぬるいのが身体にいいよ」と言うのを聞いて育ったからだそうです。セイラさんの発言を聞いていた劉くんも「僕もやっぱり暖かい飲み物の方が好き」と同意しました。だから、夏でもホットコーヒーで冷たい物は苦手なのだそうです。劉くんによると、二人の嗜好は典型的な中国人のタイプと言えるのだそうです。そこで先生が、「昔中国に留学していた時、食事をしていて店の人が持ってきたのはぬるいビールでした」と思い出話をしました。先生は多くの日本人と同様に夏は冷たい物を飲むそうで、セイラさんに「お腹壊しませんか?」と心配されていました。

 「ビールはぬるくてもいいのだ」なんて言われても、俄かには信じられません。私にとってのビールはキンキンに冷えて、一口飲んだら頭がツーンとなるくらい刺激があるのが最高だからです。でも、よく考えてみるとビールがぬるくていいのは中国だけではなく、世界の常識なのかもしれません。昔、夏にパリに行った時、当然のごとく日本ではエアコンがない店などありませんでしたが、仰天したのはうだるような暑さの中、外でビールを飲みながら談笑している大勢の人たちがいたことでした。もちろん、店にはエアーコンディショナー完備の席があるのですが、なぜかガラガラで、テラス席が人気がありました。グラスの中でぬるくなってしまったビールなど気にもせず彼らはおしゃべりに余念がないのです。どうやら身体にへばりつくような暑さなどどこ吹く風で、なんだか羨ましく思えてきました。彼らはたくましいし、何より強いなあと感心したものです。私たちにはとても真似できないので、日本人はなんて弱っちいんだろうと思ってしまいました。

 なぜこんなことを書くのかというと、ちょうど泊ったホテルが繁華街にあって、暑いし暇なので退屈しのぎに人間ウォツチングをしていたからです。記録的な暑さのせいでルーブル美術館の噴水ではいつの間にか水に足を入れてしばし涼をとる大勢の人たちがいました。エアコンもテレビもない部屋に居て、暑さでとても眠れずにいたので、ブラインドの隙間から、目の前の店のテラスを覗き見していたのでした。

 ふと思ったのですが、もし必要とされれば、スターバックスにもアイスコーヒーがあるはずです。でも未だにないということはなくていいと解釈してよさそうです。コーヒーは暖かいのが当たり前で、夏でもそれでいい、それがいいということです。私たちが求める冷たさは必要ないのだとわかります。冷たい物が飲みたければコーラを頼むのですが、グラスには氷は入っていません。外国では日本のようには氷を多用しないようです。文化の違いと言ってしまえばそれまでですが、慣れれば特に気になりません。だから冷たい飲み物が恋しくなったら、スーパーに走っていくしかないのです。望みをかなえてくれる唯一の場所ですから。

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