人生は旅

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ベルリンの思い出 続編その3

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お屋敷ホテルは小さな美術館

ベルリンはホテルも地区によっていろいろなタイプがあるので、自分の好みで選べて楽しめます。以前シャルロッテンブルグ地区にあって、由緒あるお屋敷を改装したホテルに泊まったことがあります。その時の部屋は寝転がれるソファがあって広くて快適な部屋でした。窓も大きくて街の景色も楽しめたし、日当たりもよくて、のんびりと過ごせました。そして何よりも素晴らしいのは、踊り場にアールヌーボーの騎手であるミュシャクリムトの絵のレプリカ?(たぶん、レプリカだと思います)が壁一面に飾られていることです。私の泊まった部屋は4階だったのですが、エレベーターがなかなか来なくて困っていたのです。それで、もうこうなったら階段でいいや、と思って踊り場にに行ってみて初めてレプリカを発見したわけです。驚いて急いで他の階も調べてみると、どの階もミュシャクリムトだらけでした。でもそのホテルが何階まであったか覚えていないし、残念ながらホテルの名前さえ分からないのです。ホテル予約サイトbooking.com.で調べてはみたのですが、それらしきホテルが出てこないのです。東日本大震災の直後に行って以来、ベルリンに行っていないのでよけいにわかりません。なぜ覚えているかと言うと、東ベルリン地区のカフェの女主人に「日本は地震で大変だったわねえ」と心配そうに言われた記憶があるからです。

黄金のアデーレを取り返す

クリムトと言えば、金箔を贅沢に使った絵画で有名ですが、個人的にはDVDで見た映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」を思い出します。そういえば、今ちょうど、たしか六本木の新国立美術館クリムト展をやっています。新聞でも特集が組まれていて、わざわざ見に行かなくても紙面でけっこう楽しめます。この映画はクリムトが描いた「黄金のアデーレ」という名画のモデルを叔母に持つ主人公の老婦人の物語です。アデーレは彼女の叔母の名前で、子供のいないアデーレは姪(老婦人のこと)をとても可愛がっていました。当時のウイーンで彼女は非常に金持ちの実業家と結婚していて、その屋敷にクリムトも出入りしていました。それで、夫はクリムトに自分の美しい妻の肖像を描かせました。それが、「黄金のアデーレ」でした。それから間もなくして、オーストリアで家族と一緒に幸せに暮らしていたのに、新婚だった老婦人はナチスに追われ、アメリカに亡命しなければならなくなりました。そのとき家族が所有していた数多くの宝飾品や絵画はすべてナチスに持ち去られてしまいました。もちろん、「黄金のアデーレ」も例外ではありませんでした。時は流れて、アメリカに住んでいる老婦人にもとに、オーストリアの美術館に「黄金のアデーレ」が収蔵されているとの知らせが届きます。それから彼女の闘いの日々が始まりました。知り合いの新米弁護士と共に「黄金のアデーレ」、つまり叔母の形見を取り返すことにしたのです。紆余曲折の後、彼女が見事に絵画を取り戻したところで映画は終わります。それにしても、興味深いのはナチスが強奪した美術品の多くが未だに行方不明になっているという事実です。

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