人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

キャリーケースを探す

ネットで探していたら、思わず買いそうになったが

 パリに旅行に行くと決めたら、なんだかそわそわして、旅の準備が気になり始めた。考えてみると、私はいつも旅行の用意は後回しにしてしまうので、旅行前にまとめてお金がどっと出ることになる。現地に持っていく外貨も5万円ほど用意しなければならないのに、貯金通帳を眺めてため息をつくことになる。それに今回は自炊のためにレトルト食品を持って行こうと考えているので、荷物を預けるためのキャリーバッグが必要だった。現地の空港に到着後、自分の荷物を目を凝らして見つけなければならないのは至難の業で、正直言って面倒くさい。それにロストバゲージが心配で、いつも機内持ち込み荷物だけで済ませていた。炊飯器はもちろん、お米も、変圧器もすべて自分で背負うリュックサックの中に入れていた。

 私の持って行くべき荷物の優先順位は、まずは変圧器と炊飯器、次はお米で、衣類などは二の次だった。下着もTシャツも2~3枚で、シャツは一枚あれば十分で、ズボンに至っては”着た切り雀”の時もあった。他に重要なものは現地の情報が詰まった旅ノートで、これが無かったら、たちまち途方に暮れてしまう。リュックサックに荷物を詰めこんだ後に、自分で背負って歩いてみる。その時、重すぎると感じれば、大変残念だが、何かを、たぶん衣類を出さなければならなかった。今までそんな風にして旅を続けてきたわけだが、コロナ前に行ったサンクトペテルブルグのプルコヴァ空港で変圧器を押収されてしまった。それで、やはり、変圧器は預けた方がいいのではと思うようになり、キャリーバッグを探すことにした。

 実を言うと、私はすでに機内持ち込みができるキャリーバッグを持っているのだが、あれはあまり好きではない。なぜかと言うと、引いて歩くたびにガラガラと煩い音を立てるので、周りの人に迷惑をかけているようで非常に肩身が狭いからだ。それに扱いに慣れていないせいか、人込みでまごついて、冷や汗をかくことになる。なんせキャスターが二つしか付いていないので、さっぱり私の言うことを聞いてくれなくて往生した。  だが最近街で見かけたキャリーバッグと言うか、キャリーケースというのは、音が静かだなあと感心する。その秘密はなんとキャスターが4つも付いているからで、正確に言うと一か所に2個キャスターが付いているので、合計8個付いていることになる。なるほど、キャリーケースもコロナ前とは違って使い勝手がいいように進化しているのだと感心する。これなら、私でも大丈夫かもしれないという希望が生まれた。

 ちょうど、台所用品のポリ袋が切れたので、久しぶりにディスカウントショップのオリンピアに買いに行った。ついでにキャリーケースでも見てみようかと思って、入り口近くにある売り場に行ったが、そこにあるはずなのに別の商品が並んでいた。少しの間行かないうちに店は模様替えをしていたらしい。あれ、もう無いのかと早合点したが、何のことはない、それらはちゃんとあった。だが、あんなに一番奥の誰も好き好んで足を踏み入れないであろう場所に置かれているとは、夢にも思わなかった。よく見ると、以前あった買い物カートみたいなタイプが無くなっていた。ハードタイプのキャリーケースしかなくて、それも大きめのMサイズの物ばかりで、私が捜しているSサイズの商品は見当たらない。

 一番小さめと思われるキャリーケースを試しに持ち上げてみて、仰天した。当たり前と言えば当たり前のことだが、何も入っていないのに重い。私にしてみたら十分重かったので、そこに敢えて自分の荷物を詰め込むなんてことは考えられなかった。以前この店で買った軽量タイプのキャリーバッグはもう置いていなかった。キャリーケースを街中で引いて歩いている人をみかけると、楽ちんでいいなあと軽く考えていた。だがひとたび階段を移動するとなったらどうするのだろうか。果たしてあんな重い物を持って歩けるのだろうかと、ロクでもないこと?をあれこれ考えてしまうのだ。

 それはさておき、先日私はもう少しのところで、何の考えもなしにネットでキャリーケースを買いそうになってしまった。ショッピングサイトを見過ぎて少し疲れていたのかもしれないが、ハードタイプのパステルカラーの商品をなんとなく良さそうだからというだけで、購入しようとした。あろうことか、クレジットカードの情報もすべて入力し、あとは「購入を確定する」ボタンをクリックするだけだった。だが、なんだか違和感があった。「ちょっと、待って」ともう一人の自分が囁いた。それで、寸前のところで思いとどまり、今日はやめにしてもう寝ようかとなった。

  翌日、再度キャリーケースを検索したら、以前買ったのと同様のソフトタイプの軽量の商品を見つけた。値段は手頃な8980円で、今の自分に一番合ったキャリーバッグだと思い、お気に入りに登録しておいた。まだまだ時間はたっぷりあるのだから、急いで決めなくてもいい。

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