人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

中国人の考え方に目から鱗

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▲今や世界一高層ビルが多い都市となった上海。NHKまいにち中国語テキスト5月号から。

割り勘が嫌いな訳を聞いてみたら

 ある日のNHKのまいにち中国語講座の番組でのことです。「おごるよ」という表現を勉強していたら、自然と我割り勘の話題になりました。中国語ではAA制(エイエイチィー)と言うらしく、一度聴いたら忘れられない表現だなあと思いました。皆さんは割り勘は好きですか?私は個人的には結構好きで、奢ったり奢られたりするのが面倒でした。ご馳走してもらうのは嬉しいのですが、何か人に借りを作っているようで後ろめたいような気持ちになるのです。だからできることなら、奢られるより奢る方がましだと思っていました。ところが、番組のパートナーである劉くんは割り勘は嫌いだと言うのです。その理由はAA制だと「もう会う必要がない」と言われている気がするからだそうです。う~ん、よく考えてみると、確かに割り勘だとそこで縁が切れてしまう気がします。一方、誰かが奢れば、それじゃ次は僕がという気持ちになって、奢ったり奢られたりが続いて行くと言いたいのです。先生によると、割り勘では人との縁は続かないので、劉くんは人との縁を大切にする中国人と言うことになりました。

 私があと腐れなくていいと感じた割り勘を劉くんはまるで「拒絶されたように感じる」らしいのです。番組を聞いているとわかるのです、劉くんは中国語だけでなく、日本語でも素直な感情を隠しません。どうやら劉くんは気さくで温かい心の持ち主だということが伝わってきます。この考え方を番組の進行役である中国人のセイラさんも新鮮に受けとめていました。劉くんの考え方が中国人のステレオタイプではないようなのですが、そんな考え方もあるのだと目から鱗が落ちました。物事は見た目はひとつにしか見えませんが、よく観察してみると他にもいろんな側面があるものです。

 講師の丸尾先生は学生時代中国の北京に留学していたことがありました。そのとき一番驚いたことは、地下鉄でも何でも始発の時は中国人が押し合いへし合いして、我先にと席取りをしようとすることで、その欲望を隠さない態度に辟易したのです。その一方で途中でお年寄りが乗ってくると、みんな我先にと席を譲りたがります。先生は今でもそのギャップのある中国人の行動が理解できないらしいのです。それで、劉くんとセイラさんに「あれはいったいどうなっているのですか?」と謎を解明しようと聞いたのです。そしたら、セイラさん曰く、「私たちは小さい頃からお年寄りを大事にするようにしつけられているので、みんな同じ行動をとったのですよ」。そして日本人に比べるとあまりにも大人気ない席取り合戦に関しては、あくまで座りたい気持ちが熱を帯びすぎただけのことで、つまり、中国人は何事にも一生懸命?なのだと主張するのでした。そんなものなのかあと苦笑いしたら、「今日はここまで」で講座は終わりました。

 また、ある日の話題はアルバイトの思い出でした。昔やったアルバイトでの楽しかったことや大変だった体験談を披露するはずでした。ところが、先生は楽しかったわけでも、辛かったわけでもない、とにかく面倒だった家庭教師のアルバイトの思い出の話をしたのです。それは塾講師や家庭教師のアルバイトの面接に行くと、必ずお約束のように「漢文を教えてくれ」と言われて困ってしまうのでした。先生が教えるのは英語は全く喋れなくても英語の文法でした。セイラさんに「先生ならできそうじゃないですか」などとおだてられても、できないものはできないのです。日本人は学生が中国語を専攻しているというと、必ず漢文と結びつけて考えてしまうらしいのです。それで、とんでもない誤解をしている人たちに、中国語と漢文は何の関係もないこと毎回説明しなければなりませんでした。なのでアルバイトの面接は先生にとって「またか!」というような面倒でうんざりすることだったのです。考えてみると、漢文は中国語なので、いったいどこが違うのだろうなどと私も勝手に思ってしまいます。いやいや、そんなことを言っていると先生からお𠮟りを受けてしまうのでやめておきます。

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