人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

100万円で人生の夢を買う

今週のお題「100万円あったら」

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コインランドリーの資金にしたい

 先日、早朝に雨雲がどんよりと立ち込めている中歩いていたら、わき道から一人の女性が出てきました。その人があまりにも大きな青い袋を肩から掛けていたので、思わず振り返ってしまいました。そしたら、彼女は私がさっき通り過ぎたコインランドリーの店の中に入って行きました。あの大きな袋の中に入っていたのはどうやら洗濯物らしいのです。「梅雨だから仕方ないか」と思っていたら、今度は若い男性がやってきました。その店はコロナ禍の中新しく開店した24時間やっている店でした。店ができる前は、「こんなところにコインランドリーが本当に必要なのだろうか。それも24時間営業だなんて!」と言うのが正直な感想でした。それと、アルバイト募集のお知らせの紙が貼ってありました。コインランドリーの洗濯機と店の中の清掃をしてくれる人を募集しているのです。1~2時間程度の作業で一回千円程度、月に何回でも構わないと書かれていました。ただし、応募の条件はメールで顔写真が送れる人とあります。つまり、メールで連絡できる人に限られるのでした。こんな条件を出されたら、暇があってやりたいと思っても高齢者にはハードルが高すぎます。そんな風に嘆いていたら、いつの間にかその張り紙はもうなくなっていたので、アルバイトをする人は決まったようです。

 結局、今となってはその店は人々に必要とされているのでした。なぜなら、大通りに昔からあった銭湯がなくなったからです。従業員の高齢化と諸事情を理由に廃業することになり、併設されていたコインランドリーも当然のように消えたからです。その店は銭湯の廃業を予期していたのかどうかは知る由もありませんが、とにかく成功したと言えるでしょう。以前は老婦人が一人で気ままにやっていた洋品店で、その人が亡くなって閉店になりました。その後普通なら、クリーニング店にでもなるのかと思ったら、まさかのコインランドリ―でした。そう言えば、普段あまり行かない地区の大通りには、コインランドリー店がすでにコロナが流行る前からありました。それも「他とは違う高級ランドリ―」などと看板に大きな字で強調されている店でした。どんな風に違うのか興味があっても店の中がよく見えないし、また誰も来ないので入りにくいのです。でも、この間、久しぶりに行く用事があってその店の近辺を通ったら、ちゃんと営業していたので需要はありそうです。

 コインランドリーと言うと、思いだすのは以前やっていたドラマ「凪のお暇」です。黒木華さん演じる20代の女性、凪ちゃんに思いっきり感情移入してしまいました。ドラマの凪ちゃんと一緒になって泣いたり笑ったりしました。一生懸命に凪ちゃんを応援していたのですが、コインランドリーの事業の夢が消滅したときは絶句してしまいました。凪ちゃんは心機一転、人生をリセットしようと新しい土地、新しいアパートに越してきました。仕事も辞めたので、職安に行くのですが、そこで山本さんという女性と知り合います。山本さんは東大卒で優秀で悩みなどない人のように見えたのですが、職場選びでは苦戦していました。そんな彼女が先日やっと採用が決まって二人して喜んでいました。でもその会社が実はとんでもないブラックだとわかって山本さんはへこみました。

 そんなどん底に居たときでした、コインランドリー経営の事業の話を耳にしたのは。山本さんにはある程度の貯金はあったので、職探しがダメなら起業したらどうか、などと漠然と考えていました。でも、ひとりでは不安なので、そこで凪ちゃんに声がかかりました。「一緒にやらない、共同経営者として」と夢のようなことを言われました。貯金通帳と睨めっこした挙句の果てに、なけなしの30万円をつぎ込むことに決めました。「私が経営者だなんて、夢みたい!なんかやる気が出て来た」と、なんだかウキウキした気持ちになりました。ちょうど知り合いの不動産屋さんの息子さんが空き家を壊して、駐車場にしようとしていました。その空き家を借りて改装し、コインランドリーの店舗にしようと話は盛り上がりました。今までの失敗に懲りて、恋愛よりも仕事に生きようとしていた凪ちゃんは山本さんと天にも昇る気持ちを味わいました。ところが、予期せぬ事情で彼女たちの計画は暗礁に乗り上げてしまうのです。払い込み期日までに凪ちゃんはお金を用意できなかったのです。一瞬にして、膨らんだ風船は見る見るうちに萎んでしまいました。だから、もし手元に100万円あったら、凪ちゃんに差し出したいのです。

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