人生は旅

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鬼教官の洞察力に目から鱗のドラマ

今週のお題「鬼」

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従来とは一線を画した教官像

 「鬼」と言うと、どうしても人から恐れられる、あるいは「あの人は血も涙もない人間」などいうロクでもないイメージしか思い浮かびません。一方、映画やドラマではよく鬼教官が登場し、生徒たちを苛め抜き、徹底的に鍛え上げます。生徒たちのために、鬼に徹するのが自分の役目だと心得ているのです。だから、以前テレビドラマで2夜連続の「教場」をやっていた時も、またステレオタイプなドラマかあと思ったのです。警察学校の教官役があの木村拓哉さんだったことも話題性がありました。他のどんな俳優が演じるよりもインパクトがあることは確かでした。この手のドラマは見なくてもだいたいストーリーはありきたりのものと予想がつく、けれどキムタクがやるのなら「ちょっと見てみようか」となるのです。

 私の場合も、隣の部屋で家族がちょうどそのドラマを見ていたのです。偶然に通りかかり、気になって見始めたら、引き込まれてしまいました。木村さんの演技云々というよりも、鬼教官のキャラクター設定に驚かされたのです。従来の鬼教官像とは一線を画していて、最初のうちは彼の行動が不可解でしかありませんでした。その教官はむやみに生徒を怒鳴ったはしないのですが、無口なところが逆に怖さを感じさせるタイプでした。と言うのも、突然「お前は警察官としては向いてないから、ここを出て行った方がいいぞ」などと容赦なく切り捨てるからです。第三者から見れば、不思議でしかない言動には彼なりの意図するものがあってのことなのだ、と納得するまでには時間がかかりました。そして、謎が一瞬にして解けたとき、「警察官というのは大変な仕事なのだ」とつくづく考えさせられました。

強制的に警察学校に入れられた?

 ドラマを見ていてわかったのですが、警察学校に来る生徒たちは、みんながみんな警察官になりたいわけではないようです。親が警察官だからというだけで、宿命だと言わんばかりに強制的に行かされた生徒が二人もいました。そのうちの一人はわざと退学になるようにある計画を実行しようとしました。教官は驚くべきことに彼の手のうちをすべて見抜いていたのです。ある時、バケツなどの学校の備品が無くなっていることがわかりました。あんなものを誰が、何の目的のために盗むのか、一見それはたいして問題がないことのようでした。でも、教官は、「物が無くなること自体に意味がある、つまりそれを利用して何かをする者がいる」と生徒を諭し、ある実験をして見せました。紛失した備品を組み合わせて装置を作ったら簡単に爆発してしまったのです。これにはその場にいた誰もが驚きを隠せませんでした。こんなことができるのは、頭のいい彼しかいないと確信してはいても、生徒全員の前で公表はしませんでした。教官の目的は犯人捜しではなくて、生徒が警察官としての素質があるかどうかを見極めることだったからです。

教官の願いは「死ぬな」、それだけ

 元敏腕刑事だったらしい教官は、過去の事件で同僚を死なせてしまい、自らも隻眼となったのです。だから生徒に対しての一番の願いは「何があっても、死ぬな」なのです。生徒ひとりひとりの言動を観察し、そこから深い洞察力でもって警察官になってやっていけるかどうかの判断を下すのです。そうは言っても「言うは易く行うは難し」でまさに神業と言うしかありません。警察官になるのを夢見ている生徒たちは、世の中のために尽くしたいという高い志を持ち、訓練にも懸命に励んでいます。でもその気持ちだけでは、警察官になれたとしても、不慮の事故で死んでしまう可能性だってあるのです。では何が大切なのか、身体全体で危険を察知する能力を普段から養う努力を怠らないことです。そんなメッセージをこの鬼教官から受け取って、物事にはすべて意味ががあるのだと考えさせられました。

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