人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

理想の老後は一人で自由に?

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

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 夫に先立たれても幸せ?

 私の叔母は現在82歳で今から18年前に夫に先立たれ、今は一人で悠々自適の生活をおくっています。現在のようなコロナ禍にあっても電話の声は明るく生き生きとしています。毎日やりたいことがあって、自由に時間を使えるので楽しくてたまらないらしいのです。お金もあるから何の心配もないので幸せ、本当にそんな風に本人は話すのですから、こちらは呆れてしまうほどです。夫が残してくれた2億もの財産があるので、お金には不自由しないのかと思ったらそうではありませんでした。叔母が住んでいるのは田舎で、夫から受け継いだ広い土地を倉庫として貸しているのです。だから毎月安定した収入が入ってくるわけです。世の中には、2億もの遺産をわずか3年で使い果たしてしまった人もいるとか、それを思うと、叔母は夫と商売をやっていただけあってさすがだと思います。

 叔母は昔ですからお見合い結婚で商売をやっている人と結婚しました。最初に出た電話でものすごい剣幕でお客から怒られて、「とんでもない所へ来てしまった!」と後悔しまくったようです。それでも夫とふたりで一生懸命働いて、そうなんです、一応社長夫人で従業員がいても、叔母は汗水たらして働く労働者だったのです。やがて商売も順調で余裕もできたので、やっと夫と一緒に海外旅行にも行けるようになりました。娘も息子も結婚して、これで一安心と思ったら夫が病気で亡くなってしまいました。

 世間では夫に先立たれると妻の生活が立ち行かなくなると一般的には言われています。年金も減額され、夫婦で16万円貰っていたとしたら、残された妻が受け取るのは10万円程度だそうです。本当にこれが現実なら何とかしなきゃ、つまり少しでも働いて備えなきゃと誰もが思うわけです。そんな世の中の現実を見ると、叔母はいわゆる高所得者で恵まれている人と言えます。でも叔母が一番言いたいのは「自由がなによりも幸せ」ということです。行きたいときにいつでも好きな場所に行ける、それにはもちろんお金が必要です。でもお金があっても人の自由を阻むものは配偶者なのだそうです。

自由があるから幸せ?

 「お父さんが生きていたら、こんなに好きなことはできなかった」。叔母は俳句や書道、コーラスなど多くの趣味を持ち、そのおかげでたくさんの友達ができたのです。夫が生きていた頃は仕事一筋で友達を作る暇がありませんでした。海外旅行にも周りが呆れるほどに行きました。夫が死ぬ間際に「お前はこれから好きなことをしろ、やりたいことはなんでもやれ」と言ってくれました。今まで共に頑張ってくれた妻への感謝と労いの言葉だと受け取りました。

 「お父さんが死んでくれたおかげで今の幸せがあるの」と叔母はドキッとするようなことを平気で言ってのけます。最近はずいぶん俳句というものがクローズアップされているようですが、叔母も隙あらば俳句を作ろうとしているのです。寝るときも枕元に置いていつでも句が浮かんだら書き込もうとしています。「そういう時に、最も集中したいときに、夫が側に居て何か用事でも頼まれたとしたらとてもできないと思う」と叔母は本音を漏らします。そう言えば、ダンナさんは典型的な亭主関白だったのだから無理もないことです。いずれにしろ、叔母にとっては俳句は生きがいのようなもので会うたびに「私は幸せ」と笑顔なのですが、それでも心配事がひとつだけあるようです。それは「死ぬのが怖い」ということです。やけに弱気だなとびっくりしたのですが、折しもコロナ禍でもあるのでその影響もあるのかと納得したのです。それで、「そんなこと考えないで一日一日を楽しく生きなきゃ」と𠮟咤激励しておきました。

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