人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

眠れぬ夜を楽しもう

今週のお題「眠れないときにすること」

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マドリード近郊にあるエル・エスコリアール図書館。NHKまいにちスペイン語テキストから。

眠れないのなら、いっそ楽しんでしまえばいいのでは

 眠りたいのに眠れず、でも何とかしなきゃと頑張るより、そんな時は開き直ってとことん楽しんでしまえばいいのではないかと思うのです。と言っても、日常生活では無理かもしれませんが、でも旅先ならどうにでもなります。その時の旅の形態がツアーであれ、個人旅行であれ、いつだって誰にでも予定というものはあります。でも明日に響くとか、死にそうに眠くて困ったらどうしようとか、様々な状況が頭の中を駆け巡ります。それでもこうなったら敢えて楽しんでしまおうと逆転の発想を試してみるのです。人は一晩くらい寝なくて全然平気な生き物ですから。

 過去を振り返ってみると、旅先で私は今までまともに眠れた試しはないのでした。確かに、隣の人が夜中に騒ぎ出し、文句を言ったのにもかかわらず向こうはグループなのでお手上げだったこともありました。遥か昔の旅行では地中海に面した海辺のホテルなのに海の見えない部屋に泊らされて、しかも蚊に悩まされました。たぶんエアコンのない部屋なので、暑いので窓を開けっぱなしにしたのが原因なのでしょう。外国の窓には日本のような網戸という優れものが付いていないので、夜中に蚊と戦う羽目になったのです。そして2年ほど前に行ったモスクワでは眠ろうとベットに入ったら、ガ~ンガ~ンという物凄い音がしたので、何事かと思いました。その時は10月でしたが旅行中は雨が降り続き1週間太陽は姿を見せませんでした。音がする窓側に近づいて下を見たら、なんと屋根からの雨どいが壊れているようで、大量の水が一気に落ちてきて1階にある倉庫の屋根に当たって迷惑な音を立てていたのでした。

 でも外から何らかの邪魔が入って眠れない夜はそうあるわけではありません。すべて自分が勝手に興奮してというか、まあ規則正しい日常を崩したいという気持ちがどこかにあるからだと思うのです。せっかく旅行に来たのだから、いつもはできないこと、つまり夜遊びをしたいというワクワク感がふつふつと沸き上がってくるのです。夜遊びと言ってもそんな大したことではありません、普段は忙しくて読みたくても読めない本を誰にも邪魔されずに読みたいだけなのです。あるいは新聞の映画欄で星★5つを取ったことがある名作映画を見れたらいいなあ程度のものなのです。

 泊まるホテルにテレビなどなかった頃、まあ、テレビと冷蔵庫が付いている部屋が物凄く高くて手が出なかった頃の話ですが、なぜか部屋だけは広くてベッドルームが2つもありました。テレビが無くても眠れない夜はなんら問題なく過ごせました。パリのカルチェ・ラタンに近い安ホテルはレストランやカフェが軒を連ねる繁華街の一角にありました。窓のブラインドの隙間からは向かいにあるレストランのテラス席が見えました。おしゃべりに夢中になっている人々から気づかれないように、友だちは覗き見をしていました。私は彼らと目が合ってしまいそうで、その時の気まずさがたまらなく嫌でできなかったのです。

 それより日本を出発するときに空港の書店で買った本を読むのに夢中になりました。今でも記憶に残っているのは『ドラッガーが高校の野球部をマネージメントしたら』という題名の本で、当時はベストセラーになりました。マスコミで話題になっていたのですが、ベストセラーだからいい本とは限りません。だから斜に構えて見ていたのですが、出発前に見つけたのでどんな内容なのか確かめてみることにしました。異国のホテルの部屋のベッドに寝転んで読み始めると目から鱗でした。面白いので座りなおして一気に読み終わりました。それから美術館巡りをするときは、原田マハさんの絵画を巡るミステリー仕立ての小説がぴったりだと思うのです。『楽園のキャンバス』や『暗幕のゲルニカ』などは美術館のカフェでお茶を飲みながら読むと、旅行が一層感慨深いものになります。

mikonacolon