人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

家族について考えてみた

今週のお題「おうち時間2021」

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 ▲NHKまいにちフランス語のテキストから。

家族って何?と考えてみると

 先日の新聞のアンケート調査によると、驚くべきことに家族関係が良好になったという人が半数を超えたそうです。そんな簡単に仲良くなれるものなのか。このコロナ禍にあって俄かには信じられない数字ですが、悪化するよりはましな結果と言えます。いつか見たことがある映画やドラマのように、これまでの仕事中心の毎日を顧みる時間ができたということなのでしょうか。一方で、家族が鬱陶しくて、外に逃避していたのに行き場を失くしてしまった人たちもいるのです。

 「家族」というと、以前新聞の人生相談でまだ未成年の女性が悩みを打ち明けていたのを思い出します。彼女はいつも自分のすることなすことを父親から否定され、悪口を言われて自己嫌悪に陥っていました。誰にだって気持ちよく生きる権利くらいあるのに、毎日のように父親と顔を合わせるので嫌な気持ちになります。暴力を受けているわけではないのですが、言葉による集中攻撃も立派な暴力と言えます。心に深い傷を負ってしまうからです。「もうあの人(父親)の顔は見たくない」と思いましたが、家を出るのにも経済力がないので出来ません。それで「いったいどうすればいいのか?」とアドバイスを求めていたのです。

  その悩みに対して、哲学者である回答者はこう答えました。「あなたはまだ未成年なので、すぐには行動は起こせません。でも、あなた自身の考え方を変えることはできます。父親の言葉から耳を閉ざして、自分の世界に逃げ込むことはできるのです。あなただけの世界には父親は入っては来れないのです。今あなたにできるのは自分の世界に逃避して家から逃げ出すチャンスをうかがうことです。あなたはダメな人なんかじゃないので自信を持ってください」

 この哲学者が言う「自分の世界」とは、例えば自分の好きなこと、音楽であったり、本であったり、とにかく何でもいいので自分が没頭できることです。同じ家に住んでいたとしても、父親から自由になれる時間はあるし、その存在を無視することもできるのです。たとえ、父親に愛情があったとしても、娘が嫌な思いをしていたら意味がないのです。娘に「いくら話しても自分とは分かり合えない存在だとわかった」とか「あなたと一緒に居たら不幸」だと言われてしまったのですから。実の親子であっても、心が通じるとは限らないのです。血のつながりとは別に親子にも相性があることは確かなのです。

 もう昔のことですが、家族というのは十人十色で面白いと感じたことがあります。当時、近所の井戸端会議で話題になっていたのは、嫌でも目立っていた仲良し夫婦や仲良し家族のことでした。幼稚園の子供の送り迎えは普通の家庭で母親の役目でした。誰もがそれが当然と思っていたのに、その夫婦は朝の見送りはいつも夫婦ふたりでした。「いつも仲がいいのね」などと皆から揶揄されても特に気にする様子はありませんでした。なぜ朝の忙しい時に父親が?と不思議に思い、その理由を尋ねてみると、彼らにしかわからないポリシーみたいなものがあるらしいのです。「子供の見送りは夫婦二人が当たり前」というのも、彼らが仲良し夫婦であることをアピールしているように皆は感じていたのです。それで、気にしなくてもいい事なのに、つい心にさざ波が起きてしまうのでした。

 また、近所の人が日曜日の朝、小学生の子供の同級生の家族が駅のほうに向かって歩いているのを見かけました。てっきり朝早くからお出かけと思ったら、駅ではなく4人でスーパーの方向に行ったのです。たしかスーパーでは朝市をやっているので、お目当ての物を買いに行くこともあります。でもまさか家族で朝市に?と思ったら、そのまさかで一家揃ってスーパーに入って行きました。うちの家族ではこんなことはあり得ません。夫も息子も娘も、まだ布団の中で夢心地のはずです。どうしたら、こんなに家族が一致団結できるのかと頭がくらくらしてしまいました。もちろん夫婦も仲が良く、買い物はもちろんクリーニング店でも一緒に居る姿を目撃することもあったようです。この夫婦は果たして理想の夫婦なのか、はたまたありえない夫婦なのか、井戸端会議の議論は尽きないのでした。

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