人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

お金を暖炉で燃やす

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借金の頼みを聞かないボス

映画の題名は忘れましたが、ある場面だけは頭の隅にこびりついて消えないのです。あれはたぶん中東かどこかの国で、舞台は都会ではなくて田舎、それも洞窟のような特徴のある住居に住んでいる人達の物語です。田舎の町をまとめる富豪の老人が権力を握って人を使って仕事をさせているらしいのです。彼が使っているうちの一人の男性が彼に借金を頼みに来たのです。お金を借りないと生活が成り立たないほど困っているのですが、断られてしまうのです。「それは私の仕事ではない」と彼は言うのです。お金の問題は部下にすべて任せてあるのでそちらで何とかして欲しいと繰り返すばかりです。「あなたの部下にたのんでもダメだったからここにきているのだ」と主張しても、「わたしが部下のやり方に口を挟むことなどできない」とまるっきり石頭なのです。お金を借りに来た方の気持ちなんてわかろうともしないのです。

若い妻が思いついたことは?

地元の有力者である老人には若い妻がいて、さきほどから借金の話を聞いていました。だから客が帰ってから、夫に「あれほどたくさんのお金を貧しい人に寄付しているあなたが、どうして目の前の人には冷たいの?」と憤るのです。先ほどの客が欲しいのは大した額のお金ではないし、すぐに貸そうと思えば貸せるのに、なぜそうしないの、どうしてと責めるのです。その妻に夫は「私が勝手なことをすれば部下を傷つけることになるのだ、だから何もできないのだ」と主張するばかりです。夫はいつも多額の寄付をしては地元のために尽くしている篤志家なのです。そこで妻は夫に頼むことはもう諦めて、自分でお金を出来るだけ集めて困っている人を助けようとします。なぜ他人のことにそこまで一生懸命になるのだろうか、ただの同情かそれとも特別な感情でもあるのだろうか。どうも昔からの知り合いであるらしい彼女は彼に少しでも喜んでもらいたかったのではないでしょうか。それと老人の妻なのだから、若い人への憧れという甘い気持ちもあって当然でしょう。

お金を暖炉の中に投げる

お金があればすべて解決するのだと思い立ち、昔の知り合いの家に届けに行きました。役に立てるし、とても感謝されるのだと確信してドアのベルを押します。彼に何か用かと聞かれるとお金を届けに来たのだと告げます。意外なことでとても嬉しそうな様子の彼を見るとホッとしました。ですが、テーブルでお金を受け取ると「喜ぶとでも思ったか」と言い放つと立ち上がって、お金を燃え盛る暖炉の火の中に放り投げたのです。馬鹿にするな、哀れみは必要ないと言わんばかりの衝撃的な行為でした。その光景を目にした時の篤志家の妻ときたら、すぐに彼女の目から大粒の涙が溢れてもう号泣です。うろたえながらも自分がなにか恥ずかしいことでもしたかのようにその場を去ります。まさに穴があったら入りたい状況ですが、実に彼女が気の毒です。彼女の人生の中で、あんなことしなければよかったと思える痛恨のミスとなってしまいました。良かれと思っての善意も時には人を傷つけ怒らせてしまうのだと学びました。

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