人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

フランス語の勉強を忘れていたわけは

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言葉を学ぶのに必要なのはモチベーションなのに

 ふと気が付いたら、最近はラジオのフランス語講座の放送を聞くこともなかったし、テキストを開くことすらしませんでした。あんなに好きだったフランス語、憧れだったフランス語の独特の響き、それなのになぜ今の自分にはその気配も感じられないのか。この質問には即答できます。なぜなら、突然に目的を見失ったからです。何かを学ぶためには目的が必要で、そのために自分なりの目標を見つけようとします。その目標を達成するためにふつふつと沸き上がってくるのがやる気です。モチベーションともいわれますが、私などは、「燃える」自分を意識して、自己満足の塊になってしまいます。

 そんな自分のやる気を引き出してくれるのは、フランス、特にパリへの旅行計画で、それと並行してフランス語の勉強を開始するのです。いつか行くときのために語学を勉強するのは、私の経験から言うと弱すぎるし、やる気が続かないのです。未来に確実に起こる場面を想像し、勝手に妄想もして楽しむからこそ、勉強は続けられるのです。いい加減で三日坊主の、飽きっぽい私ですら、真剣にさせてしまうのが、差し迫った”その時”なのです。現地の言葉で話すことがいかに大切か、たとえ相手の言葉が聞き取れなくても、何かの役に立つのを身をもって経験しことがあるからです。つまり現地に行って、「やっておけばよかった」と後悔しないためでもあるのです。見知らぬ場所に出かける旅の不安をできる限り少なくする上で不可欠なことです。不安を和らげるための緩衝材としてもフランス語は私を守ってくれました。

 ところが、人生における想定外の出来事が起きて、旅に出かけることが困難になりました。最初のうちはあり得ないことだとばかり思っていたので、長くは続かないだろうと簡単に考えていました。それなのにあれから1年以上たった今も終息の兆しが見えない。先の見通しが立たないのに、どうして旅行計画が立てられるのでしょう。ゲーム感覚でやってみたらどうか、まさにそれこそ本物の”机上の空論”で虚しいだけです。あの頃私は宿泊予約でbooking.com というサイトをよく利用していたのですが、最後の予約の時にふと思ったのです、この会社はどれだけ儲けているのだろうかと。オランダに本社があるこの有名な会社はこれからも世界中の人たちに利用されて発展していくに違いないと。でも実際にはコロナウイルスによる感染症の流行の前ではなす術はないようです。驕れるもの久しからずなのか、それとも予想に反して活路は見いだせるのか。

 話を元に戻すと、私の場合、フランス語の勉強は旅行とセットだからこそ続けられたのです。逆に言うと、旅行が消えた今となってはフランス語の勉強は必要ないもの、つまり、不要不急の物となり果ててしまったのです。しかし、これまでのフランス語に費やした膨大な時間と労力をどうしてくれるのか、そんな悔しすぎる思いがじわじわとこみ上げてきた。あの日々を忘れたら、過去を初めから無かったものとして無視したら悲しすぎるし、もったいないと思えてきた。だから、「あとで」ではなく「今でしょう」と考え直して行動した。埃をかぶったフランス語のテキストと会話練習本を取りだして、机の上の目につく場所に置いてみた。

 テキストをペラペラと捲ったら、鉛筆での書き込みや蛍光ペンの線が目について、頑張ってる感が満載だった。会話本の方は日付が書かれていて、期限を決めて計画的にやっていたらしく、最後のレッスンは1カ月後の日付で終わっていた。わずか2年前の出来事なのに全く覚えていないし、大した感慨もない。でも今日からでも、明日からでも、始めれば楽しいに違いないし、またフランス語への情熱を取り戻せる自信はある。だから、旅行というご褒美が無くてもフランス語の世界に入っていけるのです。それに背中を押してくれるある変化が私の中に芽生えたのです。それは幸か不幸か動画サービスで見ていた中国ドラマがどれもつまらなく思えてきたことです。どうしても感情移入ができず、「なんでこれを見てるのだろう?」などと自問自答する始末です。不意にぽっかりと空いた穴を埋めるのには何かに熱中するのが一番でしょう。そこでフランス語の出番がやってきたのですから、なんとも幸運なことです。

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