人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

海外旅行が消えた今、想うこと

お題「#この1年の変化

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 旅に出られなくなって考えたのは

 この1年の最大の変化は、旅に出られなかったことです。旅と一口に言っても、親戚の法事のための小旅行やお盆の帰省、国内旅行に海外旅行と多種多様です。私の場合は旅と言えば海外旅行のことを指し、いつも出発の6カ月ぐらい前から入念に準備していたものです。人生の最大の楽しみともいえる旅行に行けないとわかったとき、正直言って目の前が真っ暗になりました。それまでは自分が旅行に行きたいと思ったら、行く意志とお金があれば何も問題ありませんでした。私の行く道を遮るものなどなかったのに。嘆いても仕方ないので、頭の中にある過去の旅行の思い出を取り出しては、牛のように反芻して楽しんでいました。昔撮りためたビデオのように、懐かしい場面が浮かんでは消えていきます。旅行ができなくなった今となっては、経験したすべてのことがいとおしく、すべてのことに意味があるのだと感じられるのです。できれば遭遇したくなかったトラブルさえも、貴重な出来事だったと思えてくるのです。

 「ピンチはチャンス」とはまさにその通りで、そのおかげで新鮮な驚きと感動を人に与えてくれるのです。「どうして、見知らぬ私にこんなに親切にしてくれるの?」と自問し、人込みの中で思わず涙がこぼれてしまったこともあります。悲しいのではなくて、あまりに嬉しくて。どうやら人間と言うのはトラブルに会わないと、人の親切が心に沁みない生き物ならしいのです。何度もトラブルに遭遇し、私が悟ったのは「旅に出たら人に助けを求めればいい」のだということです。つまり、家を出るときに「これから出会う人たちはみんないい人、だから大丈夫、心配ない」と自分に言い聞かせるのです。

離陸が人に与えてくれたものは

 考えてみると、旅によって人は元気を貰ったり、癒されたりしてきました。私などは飛行機に乗るとまるでタイムマシンで移動しているかのように感じていました。自分の住む空間とは全く別の世界に行ける気がしたものです。飛行機の「離陸」という言葉は、人の心までも解き放つことを意味しているかのようです。同じ長距離移動でも、新幹線や列車のような線路のある乗り物とは全く違う感覚で、やはり空中に身を置くというのは新鮮な輝きを放っているです。ある雑誌で女優の常盤貴子さんは、あることで悩んでいてそれがどうにもならない時の対処法は離陸しかないと発言していました。もちろん飛行機に乗ったからと言って悩みが解決したわけではないのです。ただ、ひとまず重い荷物を地上に置いておけば、機上の人となった自分は身軽になれる。悩みに押しつぶされそうになった自分を一時的に避難させるためには、離陸は有効な手段のひとつだと考えているからです。たとえ一時的であっても気分転換することで、自分が抱えていた問題が思ったほど大きくないことに気づくことができるかもしれないのです。

 また韓国の人気俳優のチソンさんも同様な経験をしています。チソンさんはロイヤルファミリーで弁護士役を魅力的に演じた後、次回作に取り組もうとしました。ですが、あまりにも前作の役に入り込みすぎていたせいかうまくいきません。前作の役を自分の身体から追い出すためにチソンさんが試みたのは離陸でした。韓国から飛び立ってパリに行く機上でやっと憑き物が落ちるように吹っ切れたそうなのです。

 いつの間にか、旅への憧れを誘うことばかり書いてしまいました。でも先日こんなコロナ禍にあっても変わらずに旅を続けている人もいることを知りました。旅をするのに、飛行機も、新幹線も列車もいらない、自らの足で歩けばいいと言うのです。東北の山の中を愛犬と気儘に歩く、その生活スタイルはコロナ前も今も全く変わらないのです。たまには失敗もあるそうで、たまたまゴルフ場の敷地に入ってしまい、プレーしているお客さんと遭遇してびっくりすることもあったとか。こんな旅の世界もあったのだと目から鱗で、筋金入りの放浪者ともいえるその人には脱帽するしかありませんでした。

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