人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

「自分の機嫌は自分でとる」生き方

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「今が一番充実している」?!

 昨日の朝日新聞に載っていた投書には驚くしかありませんでした。いったい、何をどう考えたら、そういう結論に至るのか、そんなにきっぱりと言えるのか、困惑するばかりでした。年だけ取って中身はたいして成長の兆しが見えない、そんな私の薄っぺらな想像力と乏しい人生経験から言えば、まさに「信じられない人」なのでした。その投書の主は千葉県在住の専門学校生の吉澤佳子さんです。まず、「コロナ禍でも今が一番充実」のタイトルに、先制パンチを浴びせられ、「まさかね、本気で言ってるの?」と狼狽えてしまいました。つまり、今の自分の気持ちとの温度差がありすぎたのです。

 吉澤さんは19歳で、航空業界で働くことを目標にしていたのに、コロナ禍で新卒採用が無くなってしまいました。自分の夢が突然大きな壁に阻まれてたのですから、嘆き悲しむのが普通の人です。でも彼女はステレオタイプな悲劇の人にはならなかったのです。世間からの「可哀そう」とか「残念」などという暗い面だけを強調する見方に抗っているようです。たぶん、彼女は気持ちを切り替えて、こう書くのは容易いのですが、実際は気持ちに折り合いをつけて着地点を見つけるのは難しいのです。それでも彼女は物事の別の側面を見つめたら、今まで見落としていた真実に気づいたのかもしれません。

「心も身体も健康になりました」?

 何よりも驚かされたのは、「オンライン授業を中心とした生活で、心も体も健康になりました」と書いていることです。このような前向きな感想は世間の思惑とは全く逆ではありませんか。大多数の人は運動不足になって、思えば、痛勤電車はあれはあれでよい運動になっていたんだと気付かされた人もいるのです。吉澤さんは空き時間を使ってたランニングやストレッチにも励み、自分の心も身体も健康に保てるように努力を怠らないのです。このことから、以前の彼女の生活は決して健康的ではなかったのではと想像できるのです。そのことにすぐに気付けたからこそコロナに強いられた不自由な生活を「充実したもの」と感じることができたのではないでしょうか。

 また、当たり前のことは決してなんの変哲もないことではなく、有難いことなのだ、ということも敏感に感じ取っていたわけです。思えば、人間は何かを失ってみて初めてその大切さに気付く生きものなのです。そう考えると、今こうして生きていることや、人と関われることに感謝するしかないわけです。だから今の状況から早く逃げ出したいと願うのではなく、今の自分で満足することが最重要課題だとも思えてくるのです。

「主体変容」の考え方で幸せな将来を手に入れる

 さて、吉澤さんの今の生活は充実しているようですが、これからの就職活動に関してはどうするのでしょうか。先日もCAを目指している女性が将来の夢が絶たれて、途方に暮れている記事を読んだばかりですが。でも吉澤さんの考え方は常に快晴で雲ひとつ見当たらないようです。自分が目指していた航空業界の仕事は元々は接客業なのだ、「それなら接客業で就活を始めればいいんだ」と発想の転換をしたのです。第三者からすると、あまりに飛躍的で理解できない決断です。それでも、現在のアルバイト先でのお客様との会話に「当たり前のことが、こんなに幸せだったのか」と気づくことができたそうです。つまり、彼女の幸福度を測る物差しは我々とはどうやら違うようなのです。

 では、なぜそんなに自分が幸福でいられる決断ができるのか。彼女の考え方の秘密は投書の最後に書いてありました。「周りのせいにせず、自分の機嫌は自分でとる」。これは「主体変容」という考え方で、なんと学校で習ったそうです。思えば、人間は周りの状況に振り回されることが多く、上機嫌だったはずなのに、不意に不機嫌のどん底に突き落とされます。不機嫌の種は外からやって来て、普通の人間はジタバタするのが落ちなのです。いずれにせよ、吉澤さんの投書を読んで私は学びました。絶望するしかない場面であっても、考え方ひとつで一条の光が見えてくるのだということを。

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