人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

老夫婦でやっていた耳鼻科が消えた今

今週のお題「花粉」

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くしゃみと鼻水が止まらなくて

 この間、スーパーで買い物をしていたら、急に喉がカサカサしてきました。喉に何か引っかかっているような気がして、この嫌な感じを何とかしたくなりました。咳をしたくてたまらないのですが、周りには人がいます。以前なら躊躇なくできるのですが、今のご時世では非難の視線を浴びるのではと心配になってしまうのです。我慢しようと息を止めてみるのですが、やはり無理でした。ゴホンと控えめに咳をしたら、だいぶ良くなったのですが、喉のカサカサが収まらないので、早く家に帰った方がよさそうです。急いでレジで会計を済ませて外に出たら、噓のようにすっきりしました。朝から体調が悪かったわけでもないのに、突然起こった喉の異変に困惑してしまいました。

 考えてみると、私の場合、風邪をひいたかなあと感じるのは喉からなのです。最初は喉のカサカサ感やわずかな痛みで、あれ~?これはもしかしたらと思うのです。でも鼻水が出だすと話は別で、それがどうにも止まらなくなったら本格的に風邪をひいてしまうのです。鼻水が喉を荒らしてしまうので、その結果咳が出るようになり、その咳がなかなか止まらなくて大変な思いをすることになります。風邪をひかなくても、花粉の飛ぶ季節になると、朝起きてくしゃみが出たと思ったら、鼻水が止まらなくなることがよくありました。しょっちゅう鼻をかまなくてはいけないので、鼻が赤くなってひりひりしてきます。それでも出る物はどうしようもないので我慢するしかありません。行きつけのカフェにはポケットティッシュでは間に合わないので、箱ごとティシュペーパー持参で行くことになります。

 一番嫌なのは、食べ物を食べるときに、鼻水が混じって変な味になってしまうことです。いつもの食べ物が美味しく感じられません。まるで鼻水も一緒に食べているかのように錯覚してしまうのです。それに常に鼻水が出ているので、頭も重く感じられて気分は最悪になります。そんな時はどうしたらいいのか、少しでも気分を良くしたければ耳鼻科に行くしかありません。昔はよく耳鼻科に行きました。それも、鼻の中を洗ってもらえる耳鼻科に行っていたのです。ほとんどの耳鼻科は先生に診てもらってクスリを貰って終わりですが、私が通っていた耳鼻科は違いました。診察室の隣の部屋に鼻を洗う機械が何台かあって椅子が置かれていました。機械に繋がれた管を鼻に差すと水が出てきて、しばらくそのままでいるとだんだんと鼻がすっきりしてくるのです。

 その耳鼻科を見つけたのは偶然で、気分を変えていつもは行かない隣の町へと散歩に行ったときでした。こんなところに耳鼻科がある!とめずらしいものでも発見したような気になっていたのです。でもその時だけですっかり忘れていたのですが、ある日ふと思い出して行ってみたのです。そしたら、運悪く定休日で、がっかりして帰ろうとしていました。そしたら、突然、扉があいて着物に割烹着姿の初老の女性が現れたのです。その人は私に「うちの人はあいにく用事で出かけているのよ。診てあげたいのだけれど、ごめんなさいね」と言ってくれました。それで日を改めて行ってみると、ご夫婦二人だけでやっていて、なんと鼻も洗って貰えるのだとわかったのです。この耳鼻科の建物は古くて普通の家となんら変わりませんでした。残念なことに、時が経って先生が亡くなると耳鼻科は休診になり、ついにはその建物も壊されてしまいました。現在はいかにもと言わんばかりの見映えのいいマンションに変わっています。それでもその前を通るたびにあのご夫婦がやっていた耳鼻科を懐かしく思いだすのです。

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