人生は旅

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高級ステーキ店に行ってみたら

今週のお題「肉」

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▲セビーリヤにあるサン・ルイス教会堂。NHKまいにちスペイン語テキストから。

高級ステーキを食べたのに、盛り上がらない私

 もし、誰かにステーキが食べたい、それとも焼肉が食べたいと聞かれたら、焼肉!と即答してしまいます。それほど、私はステーキと縁がないというか、悲しいことにあまり美味しいと思えないのです。要するに、本当の意味で肉の味がわからない人間で、その上、知ろうとする努力さえもしないのです。特に高級と名のつく肉には近づかないでおくのが無難だと思っています。私の身近なステーキと言ったら、サイコロステーキぐらいなもので、しかもスーパーの特売のパック詰めの肉。毎週金曜日は肉の日でサイコロステーキはたまに食べると美味しいので、大好きなのです。和牛だなんて、とんでもない、オーストラリア産の牛肉です。何しろ580円なのですから。でもそれが一番今の私の身の丈にあった肉で、安心して食べられる値段なのです。

 ステーキを敬遠するのは、たぶん若い頃高級ステーキ店に行ったのが原因です。当時私は東京に住んでいて、友だちと銀座に近い新橋の駅ビルにあるバーによく飲みに行っていました。その頃トロピカルドリンクが流行っていて、ブルーハワイ、ダイキリマルガリータなどのジュースのような軽いお酒を飲んでいました。店に行くとまずはそれを飲んで、その後はキープしてあるウイスキーを水割りで飲むのがいつものことでした。私のお気に入りはマルガリータで、味はグレープフルーツでグラスの縁には塩が塗ってあります。テキーラも入っているのですが、飲むと一瞬爽やかな風が吹くような気持ちになりました。

 あの日は確か友達の誕生日で、彼女がステーキを食べようと言ったのです。しかも銀座の高級ステーキ店で食べるというので仰天してしまいました。よく話を聞いてみると知り合いの男性が奢ってくれるというのです。だから私もついでに行こうと誘われました。一瞬迷いましたが、こんなチャンスは滅多にないではありませんか。それに高級ステーキってどんな味がするのだろうという好奇心が抑えられませんでした。当日はいつものバーで待ち合わせ、さぞかし美味しいんだろうなあとワクワクしながら店に行きました。1人前5千円もするのですから美味しいに決まっていると信じて疑いませんでした。

 銀座の商業ビルの最上階にそのステーキ店はありました。店に入ると薄暗い灯りの中にスタイリッシュな広々としたテーブルが見えました。よく見るとそのテーブルの真ん中で白い帽子を被ったシェフが肉を焼いていて、白い煙が上がったかと思ったらすぐに消えました。私たちは店員に案内されて、テーブルの席に着くと赤ちゃんが付けるようなよだれ掛けのようなエプロンが置いてありました。肉の脂で服が汚れないようにするためなので、店員に促されて私も付けました。さて、肝心のステーキですが、シェフが客の目の前で肉を焼いてくれて、食べやすい大きさに手早く切って、焼き立てをその場でお皿に乗っけてくれるようです。だから当然肉は一人づつ出て来るので、肉を待つ時間が長いのです。その肉も見るとそんなには大きくもなく、すぐに食べられそうなサイズでした。

 自分の肉が出て来るまで、たわいもない話をしていましたが、それも尽きると皆することは同じでした。いかにも興味深々というようにじっと鉄板の上にある肉を見つめるしかありません。早く食べたい気持ちと退屈した気持ちとが混ざり合った複雑な思いで待っていたら、やっと自分の肉が目に前に出てきました。火傷をしないように、ふうふうしながら口に入れたら、美味しい!と感じると思ったのに意外にも普通の味でした。そんなはずないでしょう!と思い直して、また一口食べてみるのですが、どうしても今まで食べたことがないほど特別な味には思えませんでした。私が高級肉の味がわからなさすぎるのかもしれませんが、これが率直な感想なのです。

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