人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

猫が増えたら大変なことに

 

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猫が大人になったと喜んでいたら、えらいことに

 叔母が死んでしまったのに、そんなことは関係なくお正月はやってきました。私も兄のお嫁さんのミチコさんが暮らす実家に行きました。新幹線に乗り、在来線を乗り継いで待ち合わせの駅に着きました。なんだか久しぶりに以前の賑わいが戻ってきたので、コロナが収束したかのように錯覚してしまいました。皆の心の中には「今のうちに・・・」という思いがあって、これから先は見通せないのです。だから今だけは現実を忘れて楽しみたいのだという本音がひしひしと伝わってきます。

 実家があるのは田んぼや畑のある辺鄙なところなのですが、時代の流れなのでしょうか、どこかの会社の倉庫になっているところの方が多い気がします。最近では中国人の若い人の姿をよく見かけるそうで、彼らは介護施設で働いているのです。土地だけはあるので、どんどん老人のための施設が建てられています。でもミチコさん自身は実際にはそういう地域に行く機会はほとんどありません。近くにはスーパーなどの店もほとんどないのですが、介護施設だけはあるのでそれによって雇用が生み出されているようです。

 実家にいるとあまりにも静かなので、なんだか陸の孤島に閉じ込められたようです。それで人のいる場所に車で出かけようと嫌がるミチコさんを誘い出します。人気のある喫茶店やスシローなどの駐車場はいっぱいで、どこに車を停めようかと思い悩む始末です。それはスーパーでも同様で、人が歩いていなくて人がいないのではと思ったら、店の中には人が大勢溢れているではありませんか。ちょっとしたショッピングセンターになっていて、子供が遊べるところもあるので、なかなか皆帰ろうとしません。都心なら駐車料金が気になるところですが、ただなので何も問題ありません。

 ミチコさんは今まで犬1匹と猫1匹とで暮らしていたのですが、去年の夏に仕方なくチビネコを引き取りました。最初は一時預かりのようなもので、誰かに貰ってもらうつもりでした。その子が一目見たら誰にでも「可愛い!」と言ってもらえる猫ならどんなにかよかったのですが、不幸にも顔に墨が付いているブス猫でした。一目惚れならぬ、一目で見放されるような顔だったので、ミチコさんはボランティア精神でうちの子にすることにしました。そのおチビは小さい頃こそ可愛かったのですが、今では暴れん坊になり、好奇心で目を輝かせて、精一杯のいたずらをやってくれます。ミチコさんが寝ようとすると部屋の中を2匹で追いかけごっこをして暴れまわります。ついさっきまで2匹でくっついて寝ていたはずなのですが、それは嵐の前の静けさだったのです。猫たちは狂ったかのように部屋の中を飛び回り、ミチコさんは何とかしてやめさせようと怒鳴るのですが、全くお構いなしなのです。

 そうなるともう追い出すしか方法がありません。寒い廊下に追い出して一息つくと、今度は2匹のことが気になりだして様子を見に行きます。そうしたら、2匹は洗面所の整理タンスの上にある猫たちの場所、つまりミチコさんが特別においてあげた籠の中で寝ていました。その場所は本来はタオルを積み上げて置いてあったのですが、猫が気に入ったらしく、何度怒っても懲りもせずにそこに乗りたがるのです。終いには猫用にバスタオルを敷いてあげたのに、何度かタオルの山を床に落とされました。結局ミチコさんは根負けして、猫に逆らうのを諦めました。こうなったら猫の思うままにしたほうが楽なことに気が付いたのです。

 リビングもなんだか以前とは様子が違っていました。南側の窓際に置いてあった本棚の上にはたしか観葉植物の鉢が二つあったはずなのに、猫が寝そべるのにちょうどよいお盆が置いてありました。こたつの上から飛び乗った猫は太陽が燦燦と当たる特等席で気持ちよさそうに身体を丸くして日向ぼっこをしています。「あれ?あの植木はどうしたの?」と不思議に思って聞いてみると、「猫に二つとも落とされて割られてしまったの」。完全にお猫様天国になっているようです。本棚の隣には同じ高さの物入れが置いてあるのですがその上には分厚い雑誌がうずたかく積まれています。「もしも落ちてきたら危ない!」。最初はどうしてこんなに積む必要があるのかと疑問に思ったのですが、その謎はすぐに解けました。猫たちがやたらとそこに登りたがるのです。お山の頂上で喜んでいるみたいに、こたつに座っている私たちをそこから見下ろしています。ネコは高い所が大好きなのだと今更ながら気が付きました。

 考えてみると、今までの私はネコは寝てばかりいるものというステレオタイプな考えしかありませんでした。それに、ミチコさんの家のネコは2匹とも野良出身で野生の部分が出過ぎているのかもしれません。おとなしくなどしていられない本能なのか、常になにか見たこともない不思議な物、面白い物を探している気がします。チビネコなどは私がトイレに行く度についてきて、何をするのかと思ったら、便器の中を覗くのです。どうやら水が渦巻に流れるのが不思議でならないようです。またお風呂も大好きで、2匹ともお風呂の蓋の上に座りたがります。そこがさぞかし暖かいのかと思って触ってみるのですが、全然そんなことはありませんでした。ネコは水が怖くて、近寄らないものだとばかり思っていた私は目から鱗でした。

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