人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

天井から青空が見える家?

今週のお題「間取り」

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▲これは朝日新聞に載っていた杉並区にある高橋庸文(のぶふみ)さんの家。最初この写真を見たとき、天井がブルーなのだと早合点してしまった。写真の隣に「リビングが外にある」とちゃんと書いてある。なぜ、こんなユニークな家をと疑問がどっと押し寄せて来た。会社員でもあり、漫画家としても活動している高橋さんならではアイデアなのだと感心する。

 下の写真はご本人が描いた家の断面図。これを見ると、家の居住スペースはコの字型になっていて、枠組みの部分だけを見る限り、家族5人で住むにはとても狭すぎることは明らかです。だから、家の中心にある中庭の部分に相当するスペースがいかに重要かがわかります。それにしても、想像することはできても、実際にやってしまうことはなかなか難しいのです。それなのに、「まさか!」とか「嘘でしょう!」と誰もが驚く家を建ててしまった勇気に脱帽です。

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雨が降ったらどうするの?と心配な家だが

 正直言って、この家が「リビングが外にある風通しのいい家」だとわかったときは「冗談でしょう」と思いました。何でも面白がってしまう性格の私でも、さすがに嫌でした。でも記事を読んでいくうちに、このとんでもないアイデアを考えざるを得なかった事情が理解できるようになりました。高橋さんは東京の中央線沿線に住むのが夢でした。長年の夢をかなえるべく中古住宅を買ったのですが、住宅の容積率オーバーでローンが組めないことがわかったのです。それで取り壊して新築するしかなくなりました。いざ間取りとか現実的なことを考えたら、容積率の問題もあって夫婦と子供3人で住むのは狭すぎるのです。いつも思うのですが、新築された家はそれまでの家と比べるとかなり狭いのに驚きを隠せません。高橋さんの場合も同様で、間取りを少しでも広くするためにはどうしたらいいかと頭を悩ませました。すると、家の真ん中に天井がぽっかりと空いたような空間があるイメージが浮かび上がってきました。

 漫画家でもある高橋さんはそれをすぐに絵に起こしました。雨が降ったら、雪が降ったらどうするのか、心配事は尽きませんがやるしかありません。それを奥さんに見せたら、元インテリアデザイナーの妻はあろうことか乗って来たのです。「そのアイデア、いいじゃない、なんとかなるでしょう」と面白がってくれました。もちろん、友人の建築家に相談して、雨に濡れても大丈夫なように床をコンクリートにしたり、勾配をつけて水はけもよくしました。それでも実際に住んでみたら、試行錯誤の連続で、水が溜まって不便な思いも何度かしました。それでも、「必要は発明の母」であり、「不便なことからは素晴らしい工夫が生まれる」のが世の常です。2019年の2月から住んでいるというこの青空が見えるユニークな家。現在では「住めば都」で不便さにも慣れたのか、雨が降っても十分楽しめるようになってきたそうです。リビングの天井に釣り用の布を張って雨除けを作り、張ったり畳んだりできるように工夫もしました。それでふとある場面を思い出しました。そこはフランスのストラスブールの大聖堂の真ん前にあるカフェ。テラスで人が行き来するのを眺めながら、お茶を飲んでいたら、急にポツリ、ポツリと空から涙が降ってきました。どうしようと思った瞬間、お店の人が出てきて、側にあった何かハンドルのようなものを回しています。そしたらあっという間にテントが張られたので、安心してその場に居ることができました。何も雨が降って来たとしても、何も慌てることはないのです。

 考えてみると、この家族は青空が見えるリビングのおかげで、家族間の断絶なんてものは感じている暇がないのです。この家族は、普通なら狭い空間にひしめき合って暮らさなければならないという常識を見事に覆したといえます。ただ、私としては、かなわないとしても、できることなら、雨が降ったら自動で屋根が出て来るような仕組み。洗濯物を雨に濡れることから守ってくれるような、ベランダにあるような機能があったらどんなにいいかとそんな余計なことを考えてしまうのです。

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