人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

家事はサボっていい

今週のお題「サボる」

 

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▲ロシアのバイカル湖岸を走る観光列車。NHKまいにちロシア語10月号から。

さぼることはそんなに悪い事でもないとわかって

 考えてみると、さぼるということは後ろめたいことで、人聞きが悪い事でした。でも今の世の中は、上手にさぼる、つまり力を抜く能力を身につけることが必須になってきました。特に生きている限り逃れられない家事という仕事、なあ~んだ、そんなことかと言わないでください。たかが家事、されど家事です。ひとり暮らしであろうと、大家族であろうと好むと好まざるとに関わらず家事は発生します。人が生活する限り付き合わなければならない雑用をいかに軽減できるか、それが一番の問題なのです。現代人は小学生から大人までみんな忙しいので、できればやらなくていいことはやらないで済ませたいのが本音なのです。今まで当然すべきものと思っていたことが、実はやらなくていいことだなんてわかったときは目から鱗でした。

 最近はマスコミでも話題になっているし、本屋に行けば、「しない家事」とか「ずるい家事」とか興味をそそられる本で溢れています。しなければならないという気持ちでがんじがらめになって苦しいのなら、いっそ家族に「もうしないから」と宣言した方が楽に生きられます。家族だって妻や母親がどうにかなる前に打ち明けてくれた方が助かるはずと私などは解釈します。一昔前なら、口にするのも恥ずかしい事でしたが、これも時の流れなのでしょう、堂々と主張していいのです。

 家事の中で最も悩ましいのが掃除という何とも面倒な作業です。常識でいえば、「掃除は毎日こまめにやりましょう」などと昔から言われてきましたが、まさに言うは易く行うは難しの典型です。それにこの作業はさぼればさぼるほど代償が高くつきます。それでも、疲れている時は片目をつぶって見て見ぬふりをし、とりあえずパスしてしまいます。洗濯も毎日するものと決めつけていましたが、人によっては週に1回の人もあると聞いて仰天しました。1日だって溜め込んだら、そんなことをしたらえらいことにことになってしまうからです。昔から、「借金と洗濯物は溜めてはいけない」と言われているように、以前一度そうなってしまった時はなるほどと大いに納得したものです。

 でもよく聞いてみると、週に一度しか洗濯しない人、要するに毎日すべき洗濯をさぼっているように見える人はある工夫をしていたのです。つまりたいていの人が身体を拭くときに使っているバスタオルは使わず、フェイスタオルで済ませていました。それに着替えも最小限にしていて、洗濯物の量を減らすための努力をしていました。

 現代はいかに家事をサボって、自分の時間を作り出すかに全力を注いでいい時代です。人によってはそれを時短家事などと呼びます。先日の夕刊に家事評論家の阿部絢子さんの興味深い記事が載っていました。これまでホームステイした世界各国の家庭で体験した家事の負担を減らすヒントを紹介しているのです。イタリアの50代の共働き夫婦の家庭では日々の生活では掃除も洗濯もしている気配はありませんでした。それなのに突然四角い部屋を丸くモップ掛けしだしたので「何事!」と驚いてしまいました。それもたった3拭きであっという間に掃除タイム終了です。どうやらこれから夜に友達を呼んでパーティーを開くのでした。日本人なら、スワ、大掃除とこの時とばかりに精を出し、クタクタになって疲れ切ってしまいそうですが、彼らはそんな面倒なことはしないし、人目を気にすることもないのでした。サボるためには「人に良く思われたい」気持ちを捨てることも大事なのだと知りました。

 外国に行って日本人でよかったとつくづく思うのは朝食の豊かさです。外国のホテルの朝食の清々しいほどにシンプルなメニューには「郷に入っては郷に従え」の気持ちで何とか対応します。考えてみれば、作る側からすれば、パンとコーヒーだなんてまさにサボりとしか言いようがない楽なメニューです。これが朝だからまだ我慢もできますが、これが夜もとなると話が違ってきます。阿部さんはドイツやスウェーデンで夕食に簡素な1品料理だけという経験を何度もしました。正直な感想は「たったこれだけで終わりなの?」です。でも彼らにとってはそれが当たり前なのですが、その時、ふと思ったのです、日本には夕食の献立で悩む人がどれだけ多いことか!と。かくいう私もそのうちのひとりなのですが、サボりじゃないのと思うようなことも彼らにとっては常識として通用するのです。それで阿部さんの結論は「家事のやり方に正解などない」と言うことになりました。家事は周りの同意があればいくらでも簡素化できる、つまりサボれる余白があるということに尽きるのです。

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