人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

夫が自ら作るお弁当

今週のお題「お弁当」

f:id:mikonacolon:20210427223000j:plain

▲かつては地元のスーパーの惣菜売り場に、こんな美味しそうなキッシュが並んでいました。悲しいことに現在はもうありません。写真は稲葉由紀子著『パリの惣菜』から。

それぞれの家庭の事情によって、お弁当作りは夫の担当に

 私の知人の男性は60歳を過ぎた今でも毎日自分でお弁当を作っています。と言っても彼は独り者ではなく、ちゃんと妻もいて3人の子供と暮らしています。では、なぜ自分で作るのかというと、それは彼の職業が大きく関係しているのです。彼はトラックの運転手で、それもタンクローリーを若い頃から運転しています。この職業は朝が早いらしく4時頃起きて5時には家を出なければなりません。当時、妻は幼い3人の子供の世話で忙しく、疲れていて朝早く起きるのは辛そうでした。妻の負担になるのなら、いっそ自分でやったほうがいいと思って始めたそうです。料理をするのは一人暮らしで慣れていたので苦にはなりませんでした。毎朝起きると家族の朝ごはんを作り、同時進行でお弁当も作るのです。彼の家では朝早く起きた方が朝ごはんを作るのが常識で、それは子供の手が離れた妻がパートで働きだした後も続いています。自分が朝ごはんを食べるのだから、どうせなら、みそ汁もおかずも家族の分も作ってしまおうというわけです。

 そう言えば、もうひとり自分で毎朝弁当を作っている親戚の男性がいました。その人は職業はレストランのコックで、結婚当初から共働きでした。「私が作るよりもあなたが作る方が美味しい」などと妻におだてられて、いつの間にか料理担当になりました。自然と妻は洗濯と掃除の担当になり、苦手だった料理は夫に任せてほとんどやらなくなりました。その夫が作るお弁当は、あれこれ考えるのが楽しいとは思えないらしく、いつも「のり弁」でした。料理人だからこだわるのかと思ったら、弁当のおかずを考えるのは、本人曰く、面倒なのだそうです。だからワンパターンで「のり弁」なのです。ホカホカご飯を弁当箱に敷き詰めて、醤油を絡めた鰹節をかける。その上にまたご飯を乗せて、鰹節をかけたら最後に海苔を敷き詰める。そして焼いた塩じゃけを乗っけたら出来上がりです。「飽きないのですか」と尋ねてみたら、海苔もシャケも大好きだから飽きないのだそうです。

 共働きで夫婦仲もよくうまく行っている二人なのですが、友だち同士で話していたら、ある話題になったとき妻の方が突然怒りだしました。何事かと思ったら、先日夫の職場の同僚にあったら「あなたは旦那さんの弁当も作らないのね」と非難されてしまったのです。つまり、「私は何もしない役立たずの女だ」と誤解されてしまったわけです。自分が料理はしないのはその通りなのですが、それ以外のことはちゃんとやっています。それなのに、なぜそんなことを他人に言われなければならないのか、彼女は腹が立って仕方がないのです。それで、「あなたが職場でそんなことを言うからいけないのよ」と怒りの矛先が夫の方に向けられました。でも夫は「俺はただお前が朝大変だから、少しでも手伝おうと思ってるだけだよ」と妻の攻撃をうまくかわすのでした。世の中にはまだまだ古い固定観念が蔓延っているので、皆に「気にしなくていいんだよ」と宥められてその場は収まったのでした。

 このブログを書いていたら、昔よく食べていた弁当屋さんの「のり弁」を思い出しました。一番安くて、確か280円くらいで買えて、美味しくて、満足できる、今の言葉で言ったらコスパがいい弁当でした。そんな弁当屋さんもいつの間にか街の中から姿を消してしまいました。コンビニ弁当では絶対に味わえない、ホカ弁が懐かしいです。

mikonacolon