人生は旅

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紫陽花の季節に想う淡い恋

今週のお題「雨の日の過ごし方」

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 半世紀以上の前の恋を忘れられない人がいて

 梅雨時期なのに珍しく晴れ間が続いていたと思ったら、今日は朝からしっとりとした雨になりました。雨の日の楽しみは何と言っても紫陽花の花で、多種多様な形と色で魅力的な輝きを放っています。特に雨にすっぽりと濡れた紫陽花はひときわキラキラしているように私には感じられます。

 紫陽花で忘れられないのは、去年の今頃新聞に載っていたある男性の投書です。何気なく読み始めたら、最後にはものすごい衝撃を受けてしまったのです。まるで夢の中の話のようで、さしずめ映画かドラマのなかのエピソードに似た純粋無垢な思いが綴られていたからです。その方は72歳の内科医で毎年この季節になると、紫陽花の鉢植えを買い求めるのが習慣になっています。なぜ、他の花でなくて紫陽花なのか、その理由は四半世紀以上の前の淡い恋が忘れらないからです。普通なら、ほとんどの人は子供だったとか、たわいもない昔のことだと意に介さないのにこの方はこだわって大事にしています。あるいはそれ以降の恋愛が上書きされて、淡い恋の思い出はあとかたもなく削除されてしまうのが世の常です。でもこの男性は高校生の頃の淡い恋を心の中の小箱に大事にしまっていたのです。

 今と違って、「男女が一緒に歩くだけでも噂になる時代」だったそうで、自分から連絡をするのをやめました。自分より3つ下の少女の可愛い笑顔が、今も脳裏を離れません。雨の中、一つの傘で一緒に歩いていたら、道端に紫陽花が咲いていました。その花の青があまりにも鮮やかだったので、彼女が思わず、「綺麗な色ね」と言ったのです。だから、その場面が頭から離れずにフラッシュバックして、何度でも蘇ってくるのです。その時以来、その少女と会うことはありませんでした。それなのに、雨の季節と紫陽花はいつだって彼女を想いだすサインのようなものになりました。「淡い恋」なのに、短い時間なのに、それでも記憶に残る「深くて濃い恋」、そんな恋も確かにあったのです。男性は鉢植えの紫陽花を眺めながら、「あの日の胸のときめきを思い出す」そうです。現在に生きながら、その時だけは時空を超えて、まだ若かった高校生に戻っていきます。「まさか、ありえない!」だなんて思ったら、興ざめなのでそんなことは言いません。むしろ、そんな大切な宝物のような思い出が人生に彩りを与えてくれる、そう思った方が人生は豊かになります。

 正直言って、私などは「なんて純粋な方なのだ!」と感激してしまったのです。事実は小説より奇なりとはよく言われますが、現実にこんな方がいたとはと目から鱗でした。考えてみると、一般的には男性は女性より純粋な生き物と言われています。テレビのお見合い番組を見てみると、男女の違いは明白です。男性は第一印象というか、自分のひらめきを大事にして、最後まで決して妥協しません。意中の人をこの人だと決めたら、他の女性からどんなに猛アタックされても、なびくことはありません。たとえ、意中の人に振り向いてもらえなくても、気持ちを変えることはないのです。人の気持ちだけは努力でどうにかなるものではないと、あの番組を見ていて学びました。人と人とが惹かれ合うのはその人が生まれながらに持っている匂い、というかフェロモンに大きく左右されます。

 一方、自分の意志を貫く男性に対して、女性はというと、情けないほど心は揺れに揺れるのです。信じられないほど、あっけなく第一印象で決めていた男性を諦めてしまいます。というより、自分に話しかけてくれて好意を持ってくれそうな人の方がよさそうだと思ったり、少し話をしてみたら感じがよかったとかの理由で、いとも簡単に相手を変えてしまうのです。だいたい女性に人気のある男性は爽やかで誰とでも話せる人で、その人はもう心に決めた人がいるのです。女性には想うより想われた方が幸せになれるというステレオタイプな発想があるせいか、男性よりは一途になれないのかもしれません。

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