人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

竿受け、これがあれば洗濯物を浴室に干せる

今週のお題「買ってよかった2022」

おかげで、部屋干しの煩わしさから解放された

 私は今まで”竿受け”というものがあることを知らなかった。今となっては生活には不可欠なものだが、その存在すら知らずに暮らしてきたのだから呆れるばかりだ。ここ数日もそうなのだが、雨が降らなくても曇りの日が続いていて、洗濯物を外干しできないでいた。いや、そうではなくて、外に干していてもいっこうに乾かないのだ。乾かないから、当然のごとく、家の中は洗濯物の森と化してしまう。何日か分の洗濯物が広がる光景は鬱蒼とした森さながらに、どうすることもできないが邪魔で仕方がない。

 部屋干し用の洗剤とか、いとも簡単に言ってくれるが、とにかく部屋に干しておけば、いつか乾くだろうだなんて悠長なことは言ってはいられないのだ、現実は。だいたいが部屋の中は何もなくても湿度が90%以上で、それに加えて乾ききっていない大量の洗濯物がひしめき合っているのだから。ある日のこと、洗濯物が目の前にちらつくのに耐え切れなくなった私は、乾かなくてもいいから、ベランダに干し場を増やそうと考えた。物干し台というか、洗濯スタンドみたいなものをネットで検索してみた。

 ヤフーショッピングの画像で探すと、あるはあるは実に様々な種類の物干しがあって、見ていたら、あっという間に時間が経った。ベランダ用だけでなく、室内用にも目を向けてみた。鴨居にひっかけて使うタイプで、使用しない時は折り畳めてとても便利なもの干しがあった。他にはカーテンレールにひっかけて使うもの干しもよさそうに見えた。たかが物干しにこんなに興味津々になれるとは驚きだった。かなり真剣に検索して見ていたら、聞いたことがない物、つまり”竿受け”というものがあることを知った。

 その時の私にとって”竿受け”は未知の物で、それが一体全体何の役に立つのかどうかも分からなかった。商品のレビューを読んで自分の目を疑った。「これがあれば、浴室に洗濯物を干せます」と書いてあったので、正直言って「なんのこっちゃ!?」と思った。だいたいが、あのジメジメ、ジトジトしている風呂場に洗濯物を干すだなんて、とても正気の沙汰とは思えない。洗濯物を風呂場に干して乾くのは、浴室に乾燥設備があるマンションに住んでいる友達の家ぐらいのものだ。その友達にしたって、最初は感激して使っていたが、月末に電気代の領収書を見て目の玉が飛び出るほどの金額に怖気づいて使わなくなった。まさに”宝の持ち腐れ”だった。

 なので、レビューにある話は俄かには信じられなかった。だが、よく読んで見ると、この竿受けはマグネットで簡単に取り付けられて、2個セットで2600円でお得だと書いてあった。安くはないが、高くもないリーズナブルな値段の買い物で、快適さが手に入るなら、試さずにはいられない。半信半疑ながら、注文して試してみることにする。長方形の箱を開けると、縦23cm、横6cmの白い竿受けが2個入っていた。早速風呂場の壁に取り付けて、竿はとりあえず家にあった突っ張り棒で代用した。折も折梅雨時で洗濯物の渇きの悪さに悲鳴をあげていた時だった。

 たいして期待もせず、洗濯物を浴室の突っ張り棒にかけ、換気扇を回してそのままにしておいた。半日もすると、あろうことか噓のように乾いているではないか。そのままの部屋干しよりもはるかに乾きがよかった。風呂場を使う時以外は常に換気扇を回して置くようにしたら、天気が悪い時でも一日で乾いてしまうので目から鱗だった。風呂場が洗濯物干し場になり得るという事実が私を驚かせたのだ。まさに私にとっては青天の霹靂とも言える出来事だった。それ以来、天気が悪いとか良いとかにはあまり一喜一憂しなくなった。洗濯物が乾かないというどうでもいいこと、されど、実は鬱陶しいことを気にせずに済むようになった。そんな快適な暮らしを”竿受け”が私にプレゼントしてくれたのだ。

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