人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

家族に説得されて買った家

今週のお題「人生で一番高い買い物」

最初はそんなつもりはなかった、でも買うことに

 私の友達は結婚して、2~3年してから家を買った。家と言っても2LDKの中古マンションなのだが、築10年の3500万円の物件だった。結婚してすぐは夫の実家であるわりと便利な場所にあるマンションに住んでいた。当時夫は母親と二人暮らしだったが、その母親がちょうど仕事で新潟に転勤になった。それで彼女は夫と二人で家賃なしの、管理費2万円のマンションで快適に暮らしていた。その頃は家を買うことなど頭の隅にもなかった。ところが、突然、夫の姉が子供を連れて実家に帰ってきた。不動産関係の会社に勤めている夫と離婚するらしい。となるともう実家にはいられなくなった。友達夫婦は実家を出ていかざるを得なかった。慌てて住む場所を捜したが、すぐにはいい物件は見つからない。

 とりあえず、通勤に便利な場所にある家賃13万円のマンションを見つけた。その頃はまだ子供が生まれる前で、友だちもフルタイムで仕事をしていた。13万円は確かに高いが決して払えない金額ではない。その頃は二人共一人暮らしなどしたことがなかったので、生活していくのにお金がかかることに気付かなかった。住んでいるマンションのすぐ下にはコンビニがあって、仕事で遅くなった時などはよく利用していた。彼らの給料は二人合わせて40万を超えたが、たいしてお金を使っているわけでもないのに、まるでお金に羽根が生えているかのように月末には無くなった。やはり、家賃13万円は自分たちの身の丈には合っていないと痛感した。

 それで、彼らは引っ越しをすることにした。次に住んだのは住宅街にある小さな一軒家で、家賃は10万円で前のマンションよりは安くなった。ただ、人の目というものが彼らには気になって、ゴミを出すときにも気を使わなければならなかった。朝忙しくて時間がない彼らは、できれば夜のうちにゴミを捨ててしまいたい。だがある晩にそれをやったら、近所の人が誰か見ていたようで、こっぴどく怒られてしまった。以前のマンションと比べると、彼らにとっては一軒家はとても住みにくい所だった。マンションなら、ちゃんとゴミ置き場があって、いつでも好きな時にゴミを捨てられるからだ。

 またどこか別の場所を捜さなければならなかった。実家に遊びに行った時、母親に「そんなことなら、思い切ってマンションを買ってしまった方がいいんじゃない」と言われた。だが、お金がない。もちろん母親にもそんな財力はない。すると偶然居合わせた独身の母の妹である叔母が、「頭金は私が出してあげてもいい」と助け船を出してくれた。この発言に彼らは仰天し、歓喜した。叔母は甥である友達の夫が可愛くてしようがないらしい。独身で子供がいないから、自分の子供のように思っているのだ。事実、この時すでに夫も友達も叔母の養子になっていた。叔母が亡くなったら、すべての財産が彼ら夫婦の物になるはずだ。

 それからは、叔母と母親と彼ら夫婦で、一緒にありとあらゆる場所の物件を見学しに行った。その結果、今住んでいる6階建ての5階にある2LDKの部屋に決めた。この物件を選んだ決め手はバルコニーが広々としていることだった。だが、後になって「失敗した!」と叫ぶことになった。それは顔をあげたら、道路を隔てた目の前に、大型マンションの建物があったからだった。どう見ても、あちらからはバルコニーは丸見えで高い所から見下ろされている感じだ。

 そんな思いもかけない失敗はあったが、彼ら夫婦はやっと安住の地と呼べるマンションに落ち着くことができた。後は二人で働いて、頑張ってローンを返していくだけだった。やがて、友だちには子供ができたが、それでも仕事は続けていた。毎月、夫の給料はすべて支払いに回るので、生活費は妻の給料で何とかやっていた。家計の管理は夫がやっていたのだが、その夫がある日、「家を買わない方がよかったかも」などと嘆いた。どうやら家計のやりくりは楽ではないらしい。困り果てた夫はどうしようもないので、叔母に相談した。現状を正直に話すと、叔母は住宅ローンの残金をすべて払ってくれると約束してくれた。それからはローンの返済を気にすることなく、毎月叔母に決まった金額を返していけばよくなった。彼らはまた叔母に助けられた。

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