人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

益田ミリさんの『今日の人生2』から

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ふと思いついてすぐに函館に行く?

 先日いつものように本屋をうろついていたら、ふと目に留まったのは益田ミリさんの『今日の人生2』でした。なんと3年ぶりに2が出たらしいのです。すぐに手に取ってペラペラめくると、ある漫画の冒頭に「ふと函館に行きたくなった」と書いてありました。そんなことは誰にでもよくあることですが、本当に行動に移すこととはまた別問題です。ミリさんはすぐに函館に行く準備をし始めるのです。その点において我々とは思考回路が全く違います。週刊文春で連載している漫画の校了が終わった途端、頭の中には函館のイメージが浮かんできたのです。普通なら「ええ、今から?!」となり、「ちょっと待って」と心の準備だけでなく荷物の用意もできていないのにと戸惑うこと必至です。でもミリさんはそんな余計なことは考えません。躊躇なくキャリーケースに着替えや積読だけで埃をかぶっていた本などを放り込むのです。

 行きたくなった時が旅に出る時だなんて、まるで何かのCMみたいで、自分の心のままに生きれて、羨ましい。そんな自由がこの世の中にあったのかと短絡的に驚いていたら、最後にミリさんが旅の荷物に加えたのは原稿用紙とペンでした。そこで「なあ~んだ、仕事もするのですね」と少し興奮が収まって、現実を突き付けられたような気にもなったのです。いわゆる、期限付きの自由で、お金と時間が思いのままになるのかと錯覚していただけでした。それでも、ふと思い立ってすぐに函館に飛べる立場にいるということは羨ましいかぎりです。旅行計画などなくても構わない、そんな自由さに憧れるのです。

飛ぶのではなく、新幹線で函館を目指す

 思い立ったら、即実行のミリさんの行動が新鮮で面白いと思ったら、またビックリです。何と函館には飛行機で飛ぶのではなくて、東京から東北新幹線を利用したのです。飛行機の方が速いのではとか、いったいそんな長い時間どうやって過ごすのかなどと、つい余計なことを考えてしまいます。調べてみたら、東京から函館の北斗駅までは4時間20分でした。でもミリさんはちゃんと心得ていて、退屈することなく、むしろ充実した時間を過ごすのです。何をしたのかと言うと、家に居たら絶対読めなかったと思う本を2冊も読破したのです。それは芥川賞を受賞した若竹千佐子さんの『おらおらでいぐも』とアントニオ・タバッキ「インド夜想曲』でした。旅に出て、旅行記のような本を読むのが至福の時なのだとか。本の世界に浸っている間にいつの間にか終点の駅に着くいてしまう。そう考えると、やたらと待ち時間やらで気忙しい飛行機などよりは落ち着けていいかもと思ってしまいます。

飛行機より新幹線が便利?

 遠くへ行くのに飛行機よりも新幹線をあえて選択する、そんな人が知人にも一人いたことを思いだしました。帰省の時に新幹線の方が移動が少なくて楽だからと言うのです。誰もが飛行機の方が速いのになぜと不思議そうに質問します。すると知人は確かに飛行機に乗っている時間は短い、だけど考えてみて欲しい。家から空港まで行くのに車でどれだけかかるか、それと出発までの待ち時間を。そして現地に到着したら家にたどり着くまでどれだけの時間を要するかを、と私たちに問いかけてくるのです。そして、経験上結論として言えることは、飛行機で行っても新幹線で行っても、たいしてかかる時間は変わらないのだそうです。

 ただ、一つだけ問題があります、新幹線は災害に脆弱で何かあるとすぐに止まってしまうことです。以前、台風が来るとわかっていたのに、友人は福岡に遊びに行ったのです、もちろん飛行機で。テレビのニュースでは新幹線が止まっているとの情報が流れ、交通機関に多大な影響が出ているようでした。それでもしかしたら飛行機も飛ばないのではないかと思っていたのです。でも予想に反して彼は無事に家に帰ってきました。あんな悪天候でも、信じられない話ですが、飛行機はちゃんと飛んだのです。

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