人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

思い込みからの脱出で「脱」

今週のお題「現時点での今年の漢字

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主婦の友社『イギリス、本物のくつろぎインテリアを訪ねて』から。

たかが市営住宅、されど住み心地は想定外の予感

 知人が市営住宅の抽選に当たって、引っ越しをすることは前に書いた。昨日スーパーで買い物をしていたら、偶然彼女に出会って立ち話をした。彼女はなんだか嬉しそうで私に伝えたいことがあるらしい。引っ越しをすることになっている市営住宅の部屋を下見してきた。その時とても驚いたと言う。何にか、それは外観はもちろんだが、それよりもその中身にだった。市営の住宅供給センターに行きカギを受け取れば、一日だけ下見ができる、1週間ほど期間があるのだが、早速初日の朝には受付に行った。

 部屋の鍵を開ける前はどうせ暗いだろうとばかり思っていた。部屋は7階だが、窓は南側と北側にあるだけなので、採光は期待していなかった。ところが、部屋の扉を開けた途端、明るい光が見えた。信じられないことに玄関が明るく、おそらく南側から入る光が奥まで差し込んでいるせいだ。玄関の隣にある3.5畳の部屋も想像以上に明るかった。思ってもみなかった明るさにびっくりしたが、それ以上に嬉しかった。南向きの太陽の光が燦燦と降り注いでいる6畳の部屋に入ったら、嘘のように暖かい。外は日は照ってはいるが、風もあって暖かいとはとても言えない。家に帰ってテレビを点けたらアナウンサーが今日は大寒だと言っていた。

 日よけのために付いている紙のカーテンを開けて、ベランダに出た。きっと風があって寒いかと思ったら、穏やかだったので戸惑った。思えば、こんな高い所には住んだことがないのでびっくりすることばかりだ。目の前には中学校があり、緑の芝生のグランドでは生徒たちが走っていた。隣は野球場になっていて、数人がキャッチボールをしていた。道路を隔てた先には緑あふれる公園があり、その遥か向こうには都心の高層ビル群が見える。景色に見とれていたら、下見に来た目的を忘れそうになった。コンセントの位置や家具の置き場所などを測ったり、電灯の有無も確認しなければならない。

 この部屋は平成17年に建てられた物件で市営住宅としてはまだ新しいと言える。部屋の作りもバリアフリー仕様になっているので、ほぼ段差というものがない。玄関のチャイムもインターホンになっているので、まるでマンションなのではと錯覚してしまう。台所の壁に湯沸かし器のボタンのパネルやインターホンの電話が付いているのでそこには何も置けそうにない。さてどうするか、目下の思案中の課題だ。

 知人は今8万1千円の2kのアパートに住んでいる。こんどの市営住宅の家賃は2万8千円とかなり安くなった。共益費を合わせても3万円に満たない。これでもう老後の家賃の心配は無くなったわけだ。民間のアパートだと2年に一度は必ず更新があるので、これから先の年金生活を脅かしかねない。公団のアパートに入居した友人などはため息をつく。入居したばかりの時は家賃は4万円で済んだのに、あれよあれよという間に上がって今では10万になったと嘆く。それだけ家賃という固定費は高いと生活を圧迫してしまうのだ。知人夫婦はこれでひとまずはホッとできると思うが、その後は身体の老化との闘いが待っているのもかも知れない。

 知人から聞かされた話は私の市営住宅に対する固定観念を打ち砕くのに十分だった。そういえば、以前自転車店を営んでいた知人が公営住宅に移ったと友人から聞かされて仰天したことがある。彼はマンションの1階に住んで商売をしていて、たしか所有していたはず。それなのにどうして?と疑問でしかなかったが、自宅を売って市営住宅に入ったらしい。なぜなのか、それはマンションに住んでいる友人の話によると、年々上がっていく修繕費と管理費が不安でたまらないからだ。今は夫に収入があるから何とかなるが、年金生活になったらたちまち困窮するのは明らかだ。「年を取ったら私も市営住宅に入りたい。でも持ち家があったらダメなのよね」などと冗談とも本気ともつかないことを呟く。そんなことを聞かされても、私には返す言葉などあるわけもないのだ。

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