人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

朝礼のスピーチどうする

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主婦の友社『イギリス、本物のくつろぎインテリアを訪ねて』から。

迷える相談者に回答者のアドバイスが素晴らしい

 土曜日の新聞に「悩みのるつぼ」というコーナーがある。全国の悩める人々から様々な相談が寄せられるのだが、今回の悩みはわたし自身、身につまされる内容だった。50代の女性からで、職場で朝礼の時に毎回当番が3分程度のスピーチをしなければならならしい。テーマは特に決められていないので、ドラマの感想でも、植物の話でも、ペットの話でもなんでもいい。だが人の話を聞いていると、皆さんそれぞれ起承転結があってなかなか上手なのである。それに比べて自分は人前で話しをするのは苦手で、毎回何を話したらいいのかわからず、どうしてもしどろもどろになってしまう。

 今の職場には1年まえに転職したばかりで、50代という年齢の割に正社員として仕事ができている。だからできることなら、ずうっと働きたいのだが、3分間のスピーチが辛い。自分が当番の日は会社に行く前からドキドキしてしまって、仕事どころではなくなってしまう。皆の前に立っている時は、「声が震えて頭が真っ白になってしまう」。とまあ、この方は真剣に悩んでおられて、何とか普通に話せるようになりたいのだ。

 こんなふうに書くと、いかにも他人事のように聞こえるが、実は私も人前で話すのは苦手だ。自分でも声がうわずっているのがわかるし、早く終えようと早口になってしまう。とにかくその場をなんとか切り抜けようとするから、きっと何を言っているのか皆にはわからなくて、話の内容が伝わっていないと思う。人前で上がらないようにするにはどうすればいいのか。スピーチの上手な人に聞いてみたら、”習うより慣れろ”で場数を踏めばそのうち平気になると言われた。それまでは恥をかいても、気にせず我慢するしかないらしい。

 だいたいが元々小学生の頃から、前に出て何かを発表すると言う経験が足りないのだ。グループで何かを調べて発表する機会もあることはあるが、1年にほんの数回で、滅多に自分ひとりだけでという機会は与えられない。外国の映画やドラマを見ていると、普通に個人で皆の前で話をする機会がたくさんあるのだと気付かされる。小さい頃からそれが普通なら、皆の前で発表したり、自分の意見を言うことにためらうはずもない。そんな自分が過ごしてきた環境とは違う世界もあったのだと、今更ながら驚いている。考えてみると、小学校の時も中学校の時もできるだけクラスの中で目立たないようにしていた。皆の視線を浴びることに慣れていないのだ。それにおとなしくしていることが心地よいと感じていたから。

 でも私がしていたことは自分の気配を消すことで、存在しないのと同じだった。積極的に発言しないことは”そこに居ないのと変わりない”ことだった。担任に「もっと自己主張しないとダメだよ。損をするから」と言われた。当時はその意味が全く分からなかったが、今ならわかる。つまり自分の意見を持たないとこれから生きていく自信につながらないし、他人に翻弄されてしまうからとのアドバイスだったのだ。

 さて、相談者さんの悩みについて、文筆業の清田孝之さんは目から鱗のアドバイスをしたのだが、それはスピーチ原稿を作ってしまうことだった。夜中に目が覚めてしまうほどなら、あえて自分なりのスタイルでやればいいとアドバイスした。ニュース原稿は1分間で300文字程度が目安なので、ゆっくり話すとして3分で750文字。まずテーマを決めておき、資料からコピペして原稿を作って置く。そして当日は「話すのが苦手なので○○を紹介します」と伝えた上でそれをただ読むだけ。

 この方法なら紹介したい記事を普段から集めておいて、あとは自分で3分間の文字数にまとめるだけでいい。こうすれば、もう不安に押しつぶされることもない。仕事にも影響することなく、毎日楽しく過ごせると思う。ただ読み上げるだけという、常識ではありえない例外を作ってしまって、それを皆に認めてもらうのも悪くはない。

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