人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

近所の家が取り壊されたら

騒音が耐えられない、それにある問題が・・・

 新聞の投書欄の『あけくれ』に目を留めると、「解体されゆく家を見て思う」というタイトルが見えた。投稿の主は83歳の女性で、近所の家の取り壊しが始まり、物凄い音で家に居られずに、右往左往している様子が書かれていた。「毎日朝8時から夕方5時までを、どう過ごそうかと考える。これが18日間あると言う」と嘆かずにはいられない。一番安全安心で気持ちよく過ごしていた我が家にいられないとは!何ということなのだろう。例えば、一時避難の場所として、カフェで時間を潰すことぐらいはできるかもしれないが、せいぜい2~3時間が限度だ。18日間もガタガタ、ズドンズドンという音に耐えて、この悪夢がどうか早く終わりますようにとひたすら願う生活を強いられるとは!これが本当の”近所迷惑”で、どうにかしてくれと叫びたいのに叫べない、何とも情けない事態だ。

 私にもそんな経験があるが、以前近所にある古いビルが取り壊されることになった時のことだ。普通ビルが解体される時は”防音壁が取り付けられるのものだと思っていた。ところが、実際は布で周りを囲むだけで終わりで、そのまま重機を持ち込んでガ~ン、ガ~ン、ズドンズドンとやりたい放題やるので、こちらは何が起こったのかと仰天してしまった。その時はたまたま家に居ただけなのだが、何軒も離れている場所にある我が家だって物凄い音で、気にせずに普通に何かをやるなんてことは到底できる環境ではなかった。あのビルの隣にある家の人たちは、まるで一日中拷問かなんかされているような目に合わされていた。おそらくあの騒音のなかで暮らすことはできないので、と言うよりどうにかなってしまいそうなので、昼間はどこかに避難するしかない。本音を言えば、避難するためにかかる費用を業者に請求したいくらいだろう。

 投稿者の女性の話に戻ると、壊されて、家の内部が丸見えになった古い家を見ながら我が家の行く末を考えてしまったと言う。「あと何年か先に同じ運命をたどるのか」と現実を突き付けられて、「家の終活も考えなければと思った」そうだ。ところが、さらに、その方の身にひとつの悩ましい問題が降りかかった。それは壊されつつある家からネズミの集団が自分の家に移動してきたことだった。そう言えば、以前挨拶に見えた住人が「広い家に一人でいるとネズミの集団が騒ぎ、恐ろしくてマンションに移る」と言っていたことを思いだした。その時はまるで他人事のように聞いていたが、まさに今は自分事になって、さてどうしたものかと頭を悩ませているところなのだ。

 ネズミと言えば、私が育った田舎の古い家では夜になると、天井ではネズミの大運動会が行われていた。毎晩のドタバタにも「怖い」とか「煩い」とかといったこだわりなどなく、そういうものなのだと思っていた。それにネズミよりも悩まされていたのはネコで、夕飯のおかずにさんまをほんの少しテーブルに置いておいただけで、あっという間にそれをさらっていった。泥棒猫にやられっぱなしだった。田舎にはネズミはつきものだと思っていた私も都会に出てきて、まさかネズミに悩まされるとは夢にも思わなかった。あれは、2階建ての家の1階にある部屋を借りていた時のことだ。朝起きてきて、洗面所に行ったら、石鹸に歯型が付いていた。台所に置いてあった人参がかじってあった。こんなことをするのはネズミに間違いない。でも一体全体どこから来るのかがすぐにはわからなくて、試行錯誤が続いた。

 部屋全体を大掃除するくらいの勢いで、ネズミが出入りする穴を懸命に探した。何日もかかってようやく見つけることができた。それは何のことはないもの凄く小さな隙間だった。台所の天井にある電灯のコードの隙間で、普段は気が付かなかったが配線が丸見えだった。その隙間を塞がない限り、ネズミは永遠にやって来るだろう。すぐに大家に電話して直してもらったが、まさかのネズミと遭遇した忘れられない記憶として残っている。

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