人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

僕の贈り物

今週のお題「秋の歌」

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▲スペインのヘローナのビーチ、Lioret de Mar。外国からの観光客の人気がある。NHKまいにちスペイン語テキストから。

昔はこの歌詞の意味がわからなかったが、今は・・・

 昔大好きだったオフコースの「僕の贈り物」のことを思いだしたのは、先日の朝日新聞天声人語で見かけたからでした。冒頭に「オフコースの古い曲に『僕の贈り物』というのがあって、秋は夏と冬の間にあるから少しだけ中途半端なのだと歌っている」とありました。その後は昨今は本来の秋を実感する、つまり秋を楽しむ間もなく冬が来てしまうのだと嘆いていました。実を言うと、この「僕の贈り物」は昔買ったアルバムに収められていただけの、おまけの曲でした。お目当ての曲を聞くついでに仕方なく聞いていただけで、歌詞もなんだかピンとこなかったのです。

 例えば、「夏と冬の間に秋を置きました」という歌詞は誰でも知ってる当たり前のことだとしか思えませんでした。それに続く「だから秋は少しだけ中途半端なのです」も「この頃は何となくこころ寂しくて」もそりゃあ、普通でしょう!です。それで、その結果として、「知らないうちに誰かと隙間ができたりします」はあるあるの現象ではありませんか。でも最後のフレーズがミソなのです、「それで好きな人と別れた人のために この歌は僕からあなたへの贈り物です」

 当時は全く気付かなかったのですが、この歌は曲を聞いてくれる誰かのための思いやりに溢れた歌なのです。きっと小田さんの透き通るような声と優しいメロディが傷ついた心を落ちつかせてくれるでしょう。まだこの頃は”癒される”などという言葉などなかった時代です。今改めてこの歌を口ずさんで、歌詞の言葉の意味を味わってみました。考えてみると、秋はやっぱり、なんだか宙ぶらりんで、はっきりしない季節です。強烈な日差しが眩しすぎる夏や厳しい寒さで身体が縮こまる冬と比べると、その差は歴然としています。だからこそ、秋は小春日和という言葉があるように、穏やかで過ごしやすい季節であるべきなのです。

 今では、「秋はどこへ行ったの?」と首を傾げたくなるくらい、冬が突然やってくることが多いです。それで、心の準備がまったくできていないのに、急に寒くなって慌てふためくことになります。身体が季節の変化について行けなくて、体調不良に陥ってしまうのです。毎年頭ではわかっていても、身体は理解不能のようで「今年の冬は寒すぎる!」などと訳の分からないことを口走ってしまいます。

 以前10月中旬だというのにまだTシャツ姿の人を見かけた日本からロシアに行ったことがありました。空港から外に出て仰天しました。そこは辺り一面雪が降り積もった別世界でした。さすがにこの気温差は身体に堪えたのか、私には寒さが地獄のように感じられました。次の行き先はスペインのバルセロナでした。かの地は一転して常夏の陽気だったので、まさに地獄から天国に来たように感じられました。今思うと、同時に夏と冬の季節を味わえたことはお得な経験だったのではと思うのです。何事も過ぎてしまえばいい思い出になるようです。当時はあんなにジタバタしたのが嘘のように。

 「僕の贈り物」の話に戻ると、実はこの曲の冒頭の歌詞は「冬と夏の間に春を置きました」なのです。春も秋と同様に中途半端なのですが、秋とは違って春は心がウキウキするのです。だから知らないうちに誰かを好きになったりするのです。「それでも好きな人ができなかった人のために」、がっかりしているであろう人のために、「この歌は僕からあなたへの贈りもの」と歌っています。はっきり言って、春もいいイメージだけが先行して、実際は雨風が激しく、天候も不順で決して過ごしやすい季節ではありません。それでも春は人にとって希望の春なのです。そう考えると、秋だって、こころ寂しいだけではなく、実際は実りの秋でとても豊かな季節なのです。それに秋はとてもロマンチックな?気分になれるのだと誰かが言っていました。

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