人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

感染症の新薬をめぐるストーリーが面白い

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患者を救うために未認可の新薬を

 以前にも書いたカナダのモントリオール発のドラマ「アウトブレイク」が面白いです。懸命に患者の治療にあたっていた医療スタッフが4人とも倒れてしまいました。疫学研究所で調べてみると、信じられないことに新型のコロナウイルスだとわかりました。4人のうちの医師と看護師が重体であと1日かあるいは2日持ったらいいほうです。何とか助ける方法はないかと考えたとき、アンヌ・マリー博士の頭に浮かんだんのはウイルスに効く新薬のことでした。旧友のカドボワ博士が製薬会社で研究に勤しんでいるのですが、まだ人への効果は証明されていませんでした。

 早速アメリカのボストンに居る旧友に電話をかけて薬を使わせてくれるよう頼みます。当然のように「あんたは頭がおかしいんじゃないの?まだ人に使ったことがないクスリなのよ」と断られます。すると、博士は「わかってる、でも試してみる価値はあると思わない?」と相手の気持ちをくすぐるようなことを言ってのけます。

 アンヌ・マリー博士がすごいと思うのは相手の本音を十分に理解したうえで、研究者としての建前を徐々に崩していくところです。相手は「まだアカゲザルにしか効果が出ていない」とか「人を実験台にするのは倫理的に問題がある」などと正当な理由を並べてなんとか断ろうとします。そう言う相手に対して、「ねえ、人に使ってみたいと思わない?」と唆すような言葉をささやくのです。本音を見透かされた相手は「そんなことをしたら、あんたも私も終わりよ。社会から抹殺されるわよ」と動揺を隠せません。そこで博士は相手の動揺を見逃さず、さらに「大丈夫、あんたには迷惑はかけない、私一人でやったことにするから」と追い打ちをかけるのです。「あんたは薬を渡してくれるだけでいいから」と追い詰めると相手は堪らずに電話を切ってしまいました。

クスリのために5時間かけて米国へ

 どうしても患者を救いたいアンヌ・マリー博士は眠れない夜を過ごしていました。悶々として諦めきれずに思いついたのは米国のボストンに行くことでした。真夜中に車で5時間かけて旧友を口説きに行こうと決めたのです。万が一の場合を考えて博士が準備した対策が素晴らしいです。どういうわけか、冷蔵庫から野菜や肉などの大量の食品を取り出して車に詰め込みました。後からわかるのですが、帰りに国境で係官に荷物を調べられたときのカモフラージュのためでした。肉の持ち込みがダメなのはわかっているのにわざと車に持ち込みました。クスリが見つからないようにするためで、係官の視線を肉に惹きつけておくためです。実際にこの戦略は大成功でした。

 博士は製薬会社のロビーで出勤してくる旧友を待ち構えていました。当然のことですが、驚き呆れられて断られてしまいます。それでも「クスリを持って帰りたい」と頼み込むと、旧友は「あんた、法を犯す気なの?」と冷たく言い放って立ち去りました。ところが、博士が諦めて車で帰ろうとすると旧友が試作品のクスリ2本を持って現れたんです。「どうなっても私は知らないからね」と捨て台詞を吐き、「国境で止められたらあんたは終わりよ!」とアドバイスも忘れませんでした。それで博士は、なんとレタスの葉っぱの中にクスリの瓶を隠したのです。これにはびっくりです!肉に気を取られた係官のおかげで、何とか見つからずに済みました。ドラマとは言え、患者を救いたいという博士の熱意に脱帽です。

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