人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

私は新聞記事のスクラッパー

今週のお題「わたしは○○ナー」

あしかがフラワーパークのイルミネーション。10月22日の夕刊の紙面から。

毎晩切りぬいて貼る、それが至福の時間

 現在の私は新聞を3紙取っていて、毎日新聞記事をスクラップしている。新聞を読んでいて、少しでも気になったら、写真だろうが、イラストだろうが、人生相談、コラムやエッセイに至るまで何でも、ありとあらゆるものを切り抜いて、貼る。それが今の私の習慣で、以前ネットサーフィンをしていた時間が今ではスクラップの時間になった。子供の頃はテレビが時間泥棒で、事実、学校の教科書には『テレビの奴隷』というタイトルのお話が載っていた。子どもながら身につまされるストーリーだったのを今でも覚えている。時は流れて、今ではネットとサブスクの動画サービスが時間泥棒といっても過言ではない。なぜなら、自分の見たいものだけを見るという効率的な利用をするのが大変難しいからだ。

 冒頭の写真は「日本三大イルミネーション」で今年、全国一位の評価を受けた栃木県足利市の観光植物園のあしかがフラワーパークで始まった「光の華の庭」のイルミネーション。「関東一円から訪れる多くの観光客で賑わっている」とのこと。ちなみに2位はハウステンボス「光の王国」、3位は「札幌ホワイトイルミネーション」で、こんな美しい写真を、その時だけでなく後でいつでも見て楽しめるのがスクラップの最大の長所だ。ただ、読みながらスクラップするとなると、これが意外に時間がかかる。ついつい夢中になって、ふと時計を見たら、「もうこんな時間か!?」と驚くことこともしばしばある。

 楽しい時間はあっという間に過ぎて行くので、時間が足りないと感じてしまう。ただ、スクラップのために睡眠時間を削るのは本末転倒なので、睡魔に襲われたときはとりあえず、読まずに切り取って貼っておくことにしている。こうしておけば、時間の空いた時に後でゆっくり読むことが出来る。一番初めに切り取るのは新聞小説で、日経のの安倍龍太郎さんの『ふりさけみれば』、朝日の今村祥吾さんの『人よ、花よ』、東京新聞星野智幸さんの『ひとでなし』、それと夕刊の宮城谷昌光さんの『諸葛亮』、朝井リョウさんの『生殖記』と、合計5つの小説を読んでいることになる。こうやって並べてみると、今更ながら同時に5つもの小説を読んでいることが、物凄く不思議なことに思えてくる。「どの物語もすべて現在進行中でライブだから、稀有な状況だ」と先日のコラムで文芸評論家が述べていたのを思い出した。

 新聞小説は作家にとって”一粒で二度美味しい”グリコみたいなものだと聞いたことがある。その理由は新聞に連載している時と終了後に出す単行本との二度にわたって原稿料が入るからだ。だが、その一方で挿絵担当の画家やイラストレーターには後からその恩恵に浴しないという理不尽な現実がある。つまり、どんな素晴らしい挿絵も一度っきりで、その場限りの命なのだ。いずれにせよ、読者にとっては未知の作家や挿絵を担当するイラストレーターに出会える貴重な機会には違いない。おそらくその人の本を生涯読むことはないだろうと想像する作家の文章に毎日触れられること自体、新鮮な体験なのだ。自分が食わず嫌いをしていた作家、斜めに構えて敬遠していた作家たちの作品を否が応でも、ひとまずは読んで見るという機会が自然と与えられる、そんな場所を提供しているのが新聞小説なのだろう。

 正直に言うと、私にとってそんな作家のひとりが朝井リョウさんで、最初は色眼鏡で小説を読んでいた。朝井さんはラジオ番組にも出演し、積極的に自身をアピールしている作家だ。先日も新聞のコラムで、「自分が出演している番組で私がしゃべったことの一部分が放送では削除されてしまったので、ディレクターにどこが悪かったのか理由を尋ねたのに、答えてもらえずうやむやになってしまった」などと率直な意見を述べていた。連載も50回を超えると、私はようやく朝井さんの思考力と洞察力が底が見えないレベルであることに気づかされた。

mikonacolon