人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

やる気が出ない時の啓発本

今週のお題「やる気が出ないときの◯◯」

やる気はある?のに、実行できないメカニズムとは

 もう数年前になるだろうか、新聞の新刊の広告で「やる気はあるのに、実行できないのは、あなたの意志が弱いからではない」というフレーズを見つけた。本のタイトルはとうに忘れたが、著者がなんと作業療法士の人だったので、目を丸くした覚えがある。その手の啓発本は普通は心理学者のような専門家が書くものというステレオタイプな考えしか持ち合わせていなかったので無理もなかった。興味深々で、早速本屋に行って立読みをした。どうしてもあの”意志が弱いからではない”という部分が気にかかり、私のようなダメ人間を擁護してくれているとしか思えなかった。

 一通り読んで見て、「う~ん、そうだったのか」と深くため息をついた。やる気がある、いや、やりたいと思ってはいるのにどうしても実行に移せないのは、意志が弱いからではなく、身体が動かないだけだと言いたいのだ。つまり、やる気を出さなくても、意志の力を借りなくても、自然と身体が動くように自分を導いてやることが必要になるらしい。やる気を出すために、自分を極限まで追い込まなくても、もっと簡単にできることがある。それは、やらなければならないことをやるのを習慣化してしまうことだ。つまり、歯磨きや入浴と同様に、普段の生活に不可欠なものだと自分に思わせ、やらなかったら、なんだか変とか気持ち悪いみたいな感覚になるように仕向けることだ。そのくらいやるのが当たり前にするためには、動線の整備、要するに生活環境にひと工夫加えることが必要になる。

 本に書いてあった事例では、例えばあなたは英語がペラペラになりたいという目標がある。それは何も旅行とかの遊びのためではなく、純粋に今の自分からレベルアップして、仕事に生かして活躍したいという夢のためだ。本当は仕事から帰ったら、英語の勉強をしたいのに、いやしなければならないのに、いつも動画サービスでドラマを見てしまう。寝る時間になって何もしていないことに気づくが、時すでに遅く睡魔に襲われて寝てしまうのがおちだった。つくづく自分の意志の弱さが嫌になるが、このままでは自己嫌悪でどうにかなりそうだ。こんなダメな自分でもやる気を出す、いや、したいことを無理なく実行できる方法があるなら教えて欲しい。

 そんな意志が弱いからダメ人間だと勘違い?している人のためにこの啓発本は対処法をちゃんと教えてくれていた。断っておくが、当時はコロナのコの字もまだ知らない自由で平和な時代だったから、その気になれば、いくらでもやる気は出せた時代だった。まずは、人というのは帰ってきて、着替えをしたら普通はどこかに落ち着きたいものだから、例えば、ソファにでも座るだろう。側にはたいていテーブルがあるだろうから、そこに英会話の本なり音声教材などを置いておく。ここで肝心なのは気をそらさせるような他の物は一切置かないことだ。それと、本は閉じずに必ず開いて置き、あくまでも勉強の途中という現在進行形のスタイルにしておく。これなら嫌でも目につくから、きっと疲れて少し忘れかけていたやるべき目標に気づかせてくれるだろう。そうやって、一日でもできたら、それが二日、三日と連続したら、おそらく習慣となるだろう。その行為が日々刷り込まれ、身体がそれを認識したら、もうやらないでは済ませられなくなるという仕組みになっている。

 ”できる人の机は綺麗です”などというフレーズに惑わされて、その通りにしたら痛い目に合う。整理整頓における本をしまうという行為は目の前から一瞬にしてその存在を消すということだ。本を閉じて、見えないところに隠したら、それでお終いで頭の中からそのこと自体が消えて、すぐに目の前にある別の何かに意識が集中してしまう、特に私の場合は。考えてみると、やらなければならない英会話の本を本棚から取り出すという行為はやはり意志の力に頼らないとなかなかできないのではないだろうか。

mikonacolon