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職場で怒りが爆発

今週のお題「爆発」

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マドリードにあるプラド美術館の西側正面。NHKまいにちスペイン語テキストから。

職場で怒りの爆発に遭遇して仰天

 日常生活で出会う「爆発」はたいていは人間の感情の爆発で、でも大抵の大人は爆発寸前のところで止まるものだと思っていました。かくいう私も子供の頃は後先考えず怒りを露わにしていましたが、大人になるとそうもいかなくなりました。グツグツと沸き上がって来る怒りをその場で爆発させていたら、後でえらく後悔することになるとわかって来たからです。怒りのままに振る舞ったら、ひどく面倒なことになるし、何より怒りを爆発させても何の解決にもならないのでした。だから、怒りを抑えることを覚えて、表情に出さないにように自分に言い聞かせていました。それでも表面上は大したことなどないように見えて内面では気にしているのでした。振り払っても振り払っても頭の中に浮かんできてどうにもならないこともありました。

 以前、職場で私が実際にこの目で見たわけではないのですが、臨時職員同士で怒りが爆発した事件が起きました。40歳ぐらいの女性と同年代の男性がたわいもないことで口げんかになりました。同僚に言わせると、女性はお高く留まっていて、いつも自分は他の人とは違うのだと話していて、いわゆる嫌な人だったのです。裕福な家の娘らしく、自分のピアノの腕を自慢し、あちこちの老人ホームにも慰問にも行っているのだと話していました。つまり彼女は周りに敬遠されているちょっと変わっている人でした。

 「あの人、仕事中に鏡で自分の顔を見てたんだって」とか、「もうすぐ結婚して辞めるって言ってたよ。新居は横浜のマンションでもう準備してあるんだって」などの噂が流れました。でも、いつまでたっても会社に居るので「あれ、結婚するんじゃなかったの?」と聞いてみたら、平然と「ああ、あれはダメになったの」と言い放ったのです。彼女のお相手は当時流行っていたインターネットでのお見合いで知り合った人でした。いくら何でも一度結婚すると決めてダメになったのだから、少しはショックを受けているはずと皆そう思っていました。ところがそういった素振りなど一切ないので、「あの話はいったいなんだったの?」と首を傾げるしかありませんでした。

 一方の男性は東京の有名私大を卒業し、未だに司法試験を目指しているようでした。こちらもプライドが高く、話してみると、やたら理屈っぽくて、相手の話に合わせようという気配が全くありません。まあ、エリートには違いないのですが、彼が本当に頭がいい人なのかどうかは日常の言動ではわかるわけもありません。ただ、普通の人よりも何かにこだわりが強いということだけは間違いありませんでした。ある日、そんな彼とプライドが高い彼女が言い争いをしていると、彼女が言い放った一言が彼の怒りの琴線に触れたようなのです。それがどんな言葉なのかは定かではありませんが、とにかく彼のプライドをズタズタにしてしまうような暴言なのでしょう。その瞬間彼の怒りは理性を超えて燃え上がり、彼の手は彼女が付けていたペンダントの鎖に伸びたのです。

 現場を目撃した社員の話によると、彼はペンダントで彼女の首を絞めようとしていました。周りの声で彼はすぐに我に帰り、その手を放して呆然としていたそうです。彼女の首にはくっきりとペンダントの鎖の後が残っていました。彼は部長から厳重注意の警告を受けました。それからしばらくして、同僚たちがあの二人はもう来ないから辞めたらしいと言っているのを耳にしました。

 職場で怒りに任せて暴力なんてありえないと思っていたら、ある日また事件が起きました。私のよく知っている、穏やかで人当たりのいい人が同僚に暴力を振るってしまったのです。その事実を聞かされても到底信じられませんでした。彼はどうしても相手の自分に対する物言いや態度が許せなかったというのです。相手が言い放った何気ない一言に過剰に反応してしまった結果、自制できずに行動に出てしまったのです。相手の言うことなどまともに取らなくていい、本気にしなくていいと言うものの、真に受けてしまうのが人なのです。言葉の持つ重みを考えさせられた事件でした。

mikonacolon