人生は旅

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豪邸の贅沢な間取りにため息

今週のお題「間取り」

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 豪邸のお宅拝見に行ってみて思ったのは

 間取りで思い出すのは、もうずいぶん昔に遊びに行った元同僚のお宅です。今から思うと、あんな光景には二度とお目にかかれない貴重な経験でした。あの時、彼女はちょうど家を新築したばかりで、同僚たちの間ですごい豪邸だとの噂が飛び交っていました。本人も社交的な性格なので、事実を隠そうともしませんでした。それで皆でお宅訪問となったのです。豪邸と言っても、嫁ぎ先の広大な土地に立っていた古い家をマンションに建て替えたのでした。いつだったか、前の古い家だった時の写真を見せてくれたことがありました。そこに写っていたのは、微笑みながら庭で洗濯物を干す彼女の姿。これはある洗剤メーカーのCMとして使われそうになったのですが、残念ながらボツになったのだとか。親戚にテレビ局に勤める人がいたらしく、もう少しで自分の顔がテレビに出るところだったと話していたのを覚えています。

 当初は自分たちが住むスペース以外は賃貸にする予定だったのですが、管理するのが面倒だとの考えからすべて分譲することにしました。そのマンションの最上階のスペースを全部自宅にして、広々とした空間で快適に暮らしていたのです。行く前から皆興味津々でワクワクしていました。彼女の自宅は3階建てのマンションの最上階でエレベーターを降りるとすぐに玄関の扉がありました。そして入ってすぐ目にしたのは何もないすっきりした空間、普通のマンションの一部屋に相当するような広さの玄関でした。彼女が壁にある引き戸を開けると、そこには家族全員の履物が収納されていました。「さあ、どうぞ上がって」と促されて、中に入ると皆自分たちの目の前にある光景に圧倒されてしまいました。想像もつかない広さで、その上美しい空間、つまりそこはリビングで、テーブルとソファー、側にはグランドピアノがありました。その先に見えたのは花が生けてあるダイニングテーブルと光に溢れたキッチンでした。

 この家の間取りは確か6LDKらしく、そのLDKがこのまさにマンションのモデルルームみたいなありえない空間なのでした。でもこんない広々としたモデルルームはどこにもありません。私がモデルルームという表現を使ったのは、あまりにも生活臭がしない空間だったからです。どこをどう見ても、恥ずかしくないように掃除が行き届いているし、まるでドラマや映画のセットのようです。何か人に見せるために作られているような、人の汗が感じられない無機質の空間のように感じられました。

 モデルルームで思い出すのは、昔話題になった映画で、期限付きでモデルルームに住んでみるというテーマで作られました。家が欲しいのに、お金がなくて買えない家族に不動産会社がある提案をします。それはこのモデルルームで生活すれば、家賃をタダにしてくれるというのです。でもその代わり見学者が来た時はそれなりの対応をしなければなりません。それでも夫婦はその時はその時で何とかなると簡単に考えて、喜んでその話に乗ったのです。いざ住んでみると、住宅展示場なので平日はたいしてお客さんが来ません。平穏な日々が続くと思ったら、大間違いでした。土日になった途端、朝早くから大勢の人が人が押しかけてきて、夫婦は疲れ切ってしまいました。何より自分たちのプライベートが人目に晒されて、常に誰かに見られている感覚に襲われました。快適な生活が送れると錯覚したせいで、精神的に追い込まれ、しかも家族の関係が最悪になってしまったのです。それで彼らのモデルルームの生活は終わりを告げるのです。

 さて、想定外のLDKを見た後、その奥にある家族の部屋を見たときに初めて、人間の生暖かい血の匂いを微かに感じました。それでも、学校の先生だという娘さんの部屋は、感心するくらい整理整頓されていました。ミニマリストのように物が少ないわけではないのです。本棚にはたくさんの本があるのですが、ちゃんと大きさを揃えて置いてあるので見た目が美しいのです。化粧をするスペースは使っていない時は何の変哲もない机です。でも、ひとたび軽く手で押すと鏡が現れて、その下の引き出しの部分には化粧品が入っています。つまり使わない時は外に出さないので埃を気にせずに済むわけです。いずれにせよ、噂には聞いたことがある「本当にここに住んでるの?」と不思議に思う人の生活を覗き見して目から鱗の経験でした。

mikonacolon