人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

年金で海外で暮らしたい

今週のお題「住みたい場所」

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 できることなら、物価が安い国で快適に暮らしたい

 何年か前、ぼんやりとテレビを見ていたら、「年金で外国に暮らす日本人」の生活を紹介していました。たしか、シンガポールだか、マレーシアだとか、いわゆる東南アジアの国で暮らす人たちの様子が覗き見できるのです。日本では考えられないほど広い家なのに、家賃は驚くほど安いのです。それに一番お金がかかる食べることについても心配いりません。世界一物価が高いと言われる東京と比べると、信じられないほど何でも安いのです。おまけに近くには退屈しないように映画館やスポーツセンターも併設されています。万事至れり尽くせりで、他人事ながら羨ましいと一瞬思ってしまいます。一見夢のように見える生活ですが、テレビはいい事しか伝えてはくれないので鵜呑みにするわけにはいきません。

 でも、貰えるお金には限りがあって、それも決して多くはない年金で暮らすことを考えると物価が安いのには心が動いてしまいます。それに凍るような寒い冬がないだけでも天国ではありませんか。ただ、外国で暮らすのは経済的な理由や気候の問題だけではありません。その土地に恋してしまってどうしようもなくて、移り住んでしまう人もいるのです。知人から聞いた話によると、彼女が観光で訪れたバリ島で出会った女性がまさにその人でした。その人は初老の女性で現地の言葉を話し、完全に島民の群れに溶け込んでいるように見えました。彼女が年金で暮らしていると知ったときは仰天しました。若い頃からバリ島が好きで、通っているうちに住みたいと思うようになりました。それで着々と準備をした結果、見事に願いを実現させたのでした。

 バリ島と言うと、その名前の響きからイメージするのは青い海が見えるビーチと豊かな海の恵みである海産物です。でも現実にはエビやイカ、貝類などの海の幸は高すぎて、彼らの口には入らないのです。あくまでもそういった高価な食べ物はすべて観光客のための高級品でした。豊かな海があるのだから、捕り放題、食べ放題だとばかり思っていたら、目から鱗でした。ではいったいバリ島に暮らす普通の人たちは何を食べているのか?好奇心に駆られて質問すると、なんと答えは焼き飯、つまり日本でいうチャーハンなのでした。海という絶好の猟場がありながら、毎日食べるのはお米?!なんだか変で、どう考えても納得いきません。なぜお米なのか、その理由は一番安く手に入る食べ物だからでした。

 さらに衝撃を受けたのは、バリ島の男性は働かないという事実でした。厳密に言うと、働きたくても働く場所がないのです。だから働かない旦那に代わって女性たちは物凄くよく働きます。でも、男性たちは何もしない訳ではなく、観光客相手に彼らなりにサービスに精を出します。観光客、特に女性に声をかけてきて、「あなたは実に美しい!」などと褒めまくり、ものすごくいい気分にさせてくれます。毎日のように付きまとい、散々お金を使わせます。でも当の女性にして見れば、まるで自分の事を女王様のように扱ってくれる人なんて今までいただろうか?などとシンデレラ気分です。優しくしてくれるし、こんなにも私に尽くしてくれる!と感激しました。経験したことのないような幸せに浸っていましたが、悲しいことにお別れがやってきました。「もうお金がないの!」と言うと、彼らはあっさりと「バイバイ」と去っていくのです。まさに、金の切れ目が縁の切れ目で、「別れは突然に!」なのです。女性たちは蜜月の終わりに涙にくれるのですが、相手は満面の笑みでさよならを言います。夢から覚めて冷静になり、「騙された!」とわかったときにはもう遅いのです。

 それなのに、女王様気分に味を占めて、何度もバリ島に通ってしまう人たちもいるの、と知人は話していました。「バリ島に行くなら女性は気をつけなきゃダメ!」とアドバイスしていた彼女ですが、自分は大丈夫なのか?そこのところを聞きそびれてしまいました。それにしても、誘惑の魔の手が待つバリ島でひとりで暮らすことを決心するなんて、なんと凄い人なのでしょう。バリ島で年金で暮らす女性に脱帽です。

mikonacolon