人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ピカソ美術館で買ったTシャツ

今週のお題「お気に入りのTシャツ」

f:id:mikonacolon:20200803204039j:plain▲偶然行ったバルセロナピカソ美術館で買ったTシャツ。胸元にはピカソが戦争反対を強く訴えて描いた「ゲルニカ」がプリントされている。残念ながら本物の「ゲルニカ」はマドリードのソフィア王妃芸術センターでしか見ることはできません。

「暗幕のゲルニカ」との出会いが

 私がピカソ美術館に行ったのはある偶然の出来事がきっかけでした。当時まずフランスのパリに行ってからスペインのバルセロナに行こうとしていました。サグラダファミリアカタルーニャ礼拝堂の内部ツアーのチケットをネットで予約しましたが、ピカソ美術館に行く予定はありませんでした。それはたぶんバルセロナにはガウディ建築のカサ・バトリョカサ・ミラなどの世界遺産が多く存在するので、注目されることが少ないことが原因です。それなのに、どうしてそこに行くことになったのか、それは1冊の本に出合ったからです。その本の名前は「暗幕のゲルニカ」で著者は絵画ミステリーで絶大な人気を誇る原田マハさんです。

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▲人間も馬もすべての生き物が阿鼻叫喚している姿を描いた「ゲルニカ」。

ピカソのデッサンの「鳩」に会いたくて

 いつも海外旅行に行くとき、空港にある書店で本を2~3冊必ず買うことにしています。退屈を紛らわすためでもあり、世間で話題になっている本を「本当に面白いの?」と品定めする絶好の機会なのです。本はけっこう重いので文庫本や新書がいいのですが、あの時は迷わず単行本の「暗幕のゲルニカ」を選んでいました。飛行機の搭乗を待つ間に試しに読んでみたらその内容に引き付けられました。正直言って私には絵画の素晴らしさはよくわからないのですが、物語のストーリーが面白くてページをめくる手が止まりません。特に主人公の美術館の学芸員の女性には自分でも信じられないくらい感情移入してしまいました。

 その人が一番好きな絵はピカソの書いたデッサンの「鳩」でした。初めて見たときは雷に打たれたような衝撃を受けた。鳩が、本物の鳩が目の前に居て、その鳩が今まさに飛び立とうとしている!そんな感覚に襲われてしまったとか。「紙に描かれた鳩」が生命の生き吹きの魔法をかけられたかのように動き出す、そんな「鳩」ならぜひ見てみたいと思いました。というよりも,そんな風に錯覚させてくれるピカソの鳩のデッサンをどうしても見なければという強い気持ちになりました。パリのホテルで小説を読み進めていたので、列車がバルセロナに着くころにはもう読み終えていました。予約も何もしていませんが、とにかくピカソ美術館に行く目的ができました。

ピカソの「鳩」に出会って納得

 バルセロナピカソ美術館にあるデッサンの「鳩」が小説に出てくる今にも飛び立たんばかりの「鳩」ではないことはわかっていました。それでもその感覚を共有したかったのです。幸運にもこの美術館にはピカソの若い頃のデッサンが豊富にあって目的を果たすには最高の環境でした。鳩のデッサンも何枚かあって、最初はそれは紙の上に描かれた鳩でしかありませんでした。それなのに、じっと見つめていると不思議なことに鳩が動き出そうとする気配を感じたのです。それはピカソのデッサン力によるものなのか、自分の思い込みによるものなのかは定かではありません。しかし、ただのデッサンに命を吹き込むことも可能なのだと実感し、学芸員の女性の想いにようやく納得がいきました。それにしても、世間の大部分の人がピカソの抽象画しか知らないのは残念でなりません。バルセロナピカソ美術館なら天才ピカソの素晴らしさを存分に味わえるのに...。

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