人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

クラッシック音楽と少女の更生

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不良少女が音楽に目覚める

スウェーデン映画の「ピュア 純潔」を見ました。この映画の主演女優はアリシア・ヴィキャンデルで「リリーのすべて」でアカデミー助演女優賞を受賞した人です。有名ブランドのヴィトンのモデルにもなっている彼女が20歳のカタリナを演じています。カタリナはいつものようにネットの動画を検索していて、偶然モーツアルトの曲に出会い、感銘を受けます。今まで男性とさんざん遊んできたカタリナにとっては新鮮でとても魅力的な世界でした。もう今までの生活には絶対戻らないと決めて、コンサートホールに出かけるのです。そこで偶然ホールの受付の仕事を募集していることを知ります。そしてとんとん拍子に話が進み、見習の受付係になることに成功します。こんなにもうまく行くなんてありえないと思われるでしょうが、この映画には必要な状況設定なのです。それで指揮者のアダムと知り合うことができるのです。

アダムに恋をする

あんなにも美しい音楽を作りだすことが出来る指揮者の彼をカタリナはうっとりと見つめるのです。毎日彼とあいさつを交わして、知り合いになれたかのように錯覚してしまいます。でもアダムが彼女に何か教えようと話しかける場面では、こちらも勝手に想像してしまったのです。つまり彼によって彼女が何か楽器を習うことになったり、あるいは今まで知らなかった知識を手に入れるのではというようなことです。映画「マイ・フェア・レディ」で無知なイライザが立派なレディになってしまったようにカタリナもアダムによって変わるのではと期待しました。そしたら妻も子もある彼が意外にも彼女を誘惑してしまいました。彼はもちろん遊びでも彼女は真剣で彼が好きなのです。

絶望したカタリナは

妻が戻ってきたので、「もう君とは終わり」なんて言われても納得出来るはずはありません。カタリナがしつこく追いかけると、アダムは卑怯なことに彼女を解雇させてしまうのです。採用してくれた女の人に「残念だわ。でも上が解雇しろと言うからどうにもできないの」と慰められます。毎日、大好きな音楽に囲まれて受付の仕事をして幸せだったのに、カタリナは仕事を失くしてしまいました。彼女はアダムに解雇しないように頼みに行くのですが、「君は自分が変われたとでも思っているのか」と心ない言葉を浴びせられてしまいます。彼に教えてもらった本は必ず図書館に行って熱心に読んでいたのです。「勇気は人生を開く」というキルケゴールの本も時間を惜しんで読みました。生きがいを奪われて絶望したカタリナは彼を窓から突き落としてしまうのです。

カタリナの更生の物語

最後の場面では、カウンセラーから「あなたは本当によく頑張った」と言われるほど仕事に打ち込んでいて笑顔です。最初は自分の怒りを抑えることが出来なかったのに、音楽は彼女を変身させました。今では子供たちの音楽教室の責任者を任されて張り切っています。それにしても、指揮者のアダムは傲慢でずるい男ですよね。それで思い出したのですが、東欧の映画監督で音楽家たちのドキュメンタリーを撮った人がいたのです。その人が記者会見で自分の映画に出演した音楽家たちのことを「非常に下品な人たち」だと表現していたそうです。高尚なクラッシック音楽を演奏しながらも、その人間性は驚くほど低俗だと批判しています。それでも、その映画監督の話は実にユーモアに富み最初から最後まで笑いが絶えなかったと記事には書いてありました。

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