人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

リズムが狂って、やる気が出ない

 

今週のお題「やる気が出ない」

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 毎日の生活が一変して、心も身体も不調になって

 今まで意識せずに当たり前のようにやっていた習慣が、ある日、突然必要なくなったとしたら、誰だって呆然としてしまいます。毎日同じ時刻に起きて、いつもの駅に行って電車に乗ります。会社のある最寄りの駅で降りたら、自然と足は職場に向かっているのです。そんな決まりきった日々がこれからも続くのだと信じていたのですが。現実は違いました。そうなんです、コロナウイルスの流行が暮らしを変えてしまったのです。最初は何が起こっているのか、これからどうなってしまうのか、わからなくてオロオロするばかりでした。でもすぐに状況がわかってきました、つまりそれまで普通にあった仕事が激減したのです。

 近所に住む知人は今まで月曜から金曜日までフルタイムで仕事をしていました。彼の仕事は製本業で、と言っても本を作るのではなくて、デパートのフロアーガイドとか映画のパンフレット、チラシの制作等が主な仕事でした。彼はちょうど3月のコロナが流行る前に翌月の仕事の工程表を見て仰天しました。なぜなら、そこには空白しかなくて仕事がガラガラだったからです。彼はその時、これからは仕事が無くなることを覚悟したのでした。予想通り、自宅待機になったわけですが、仕事人間だった彼には余暇の過ごし方がわかりません。週末には競馬や野球といった楽しみがあるのですが、普段の日は何をしていいか見当もつきませんでした。それで、それまで見たこともなかったNHKの朝ドラや韓国ドラマをみて暇な時間をやり過ごすしかありませんでした。後は以前は時間がなくて読めなかった歴史小説を読むようになりました。

 皮肉なことにコロナの流行のせいで、思わぬ余暇を手に入れたわけです。以前は仕事が忙しくて、できることならもっと欲しいと思っていた休みがいとも簡単に手に入ったのです。これからどうなるかという不安はもちろん頭の片隅にあったのですが、それよりもまるでギフトともいうべき休日を最初のうちは密かに楽しんでいたのです。ところが、いつも立ち仕事なのに、座ってばかりいたせいか腰が痛くなってしまいました。彼にとって腰痛はたいして珍しくもないことで、湿布を貼って安静にしていれば治るので楽観していたのです。でも1週間を過ぎて、10日経ってもよくなる兆しは見えませんでした。それで、まさかコロナウイルスに感染したのではと疑心暗鬼になってしまったのです。幸運なことに、会社に行く日が近づくに連れてだんだんと腰痛の痛みがなくなってきました。

 久しぶりに仕事ができて嬉しいはずなのに、なぜか、その日の彼は浮かない気分だったのです。「何か調子が狂っちゃって、やる気が出なくて」と信じられないことを口にしたのです。仕事に自信を持っていて、生きがいだったのはずなのにと絶句してしまいました。考えてみると、例外を除いてほとんどの人たちは変化に弱いし、また変化を嫌います。それは心も身体も慣れていたリズムが乱されるのを避けたいからでもあります。彼の場合も、自宅待機の間に、いかに自分のモチベーションを維持するのが難しいかを痛感したはずです。自分の心なのに、どうやって折り合いをつけていいのかわからないのです。幾度となく押し寄せて来る、これからどうなるという不安を振り払いながら、そのことは考えないように自分に言い聞かせます。そんなことを考えること自体、全く意味がないからです。

 その後、彼は2~3日は会社に行ったのですが、またすぐに仕事が途切れてしまいました。人間にとって、こういった不確実な状況が一番精神的に堪えることは明らかです。それに、久しぶりに仕事をしてみたら、やたらと疲れを感じてしまいました。以前は何でもなかった、慣れているはずの仕事が一日を終えたら辛いと感じてしまったのです。それでも、体力の衰えと精神的な落ち込みに愕然としながらも、彼は何とか今をやり過ごそうと奮闘しています。

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