人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

サハラ砂漠で日曜漁師

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▲本のカバーの裏にあるサンマウの写真。「サハラの歳月」のエッセイが台湾の新聞に発表されるやいなやセンセーションを巻き起こし、彼女は一躍有名になりました。なんといっても彼女の体験記はサハラ砂漠での生活を知る上での貴重な記録に間違いありません。

お金より友情を大切に

 先日も「サハラの歳月」については書いたのですが、やはりまだ書き足りないので続編です。サンマウは夫の会社の同僚を大切にしていて、「いつでも遊びに来てね」と社交辞令でなく本気で言っていた。会社の寮に暮らす彼らを「ロクなものを食べていないでしょうから」と気の毒に思って、いつも手厚くもてなしました。脂肪でコテコテのラクダの肉などではなく、彼らがおそらく食べたことがないであろう牛肉のステーキを奮発して焼いてあげたりもした。そのせいか彼らとの間には揺るがない信頼と友情が芽生え、砂漠での生活に彩りを与えてくれたのです。

 最初はこの人はもしかしたらお金持ちのお嬢様様?ではないかと疑ったのですが、私のとんだ勘違いだったようです。大盤振る舞いした後に家にあるお金をすべて数えたら、あまりの少なさに椅子から転げ落ちてしまいました。だから「よし、今日からは誰が来ても家の戸は開けないぞ。そうすればお金はなくならないはずだ」とその時は決意したのです。でも誰とも付き合わない生活を想像してみたら、夫も自分も「そんな生活をしたら、お金は残るかもしれないけど、その前に発狂しちゃうわよ」という見解で一致しました。

週末は日曜漁師に

 ではどうしたらいいのかと無い知恵を絞って考えたのが「日曜漁師」という戦略です。週末に魚を自分たちで捕って食料にすれば家計の足しになると考えたからです。家から車で100kmほど車を飛ばすと大西洋にでられます。そこにはまだ知られていない豊富な漁場があって、岩場にはたくさんの貝やアワビがくっついていたのです!それに岩の隙間にはカニが、水たまりにはタコ、蛇にそっくりなまだらウナギまでいるのです!まさに極楽ではありませんか、こうなるとテレビ番組ではその場で食すのがお約束です。でも彼らは獲物をすべて家に持ち帰って仲間と分け合うのです。「もう家には誰も呼ばない」と言っていたことなどケロリと忘れて、帰り道にはお客のためにビールやワインを買ってしまうのです。

 サンマウの夫はダイビングスーツを着て海に潜って獲物を探します。サハラに来て採鉱会社の社員として働く夫は意外な特技を持っていました。持ちきれないほどの10匹もの大きな魚を捕まえました。初心者が果たしてそう簡単に魚を突き刺して捕まえられるのか、誰が考えても無理だとわかります。こういった生活に役立つ能力を持つことがいかに大事かに気づかされました。「夫はサハラでは会社員であり大工であり左官職人であり漁師でもある」とサンマウが言うようになんでも自分でやる必要があるのです。

 気づかされたことがもう一つありました、アフリカの地図を見たら、西サハラのすぐ近くにあのカナリア諸島があったのです。観光客に人気のある自然の宝庫のような場所だということはNHKスペイン語講座のテキストで初めて知りました。その当時はカナリア諸島の位置やスペインとアフリカとの関係など知る由もありませんでした。後になって、スペインの最南端の地であるアルヘシラスまで行って初めてアフリカを身近に感じたのですから。日本からアフリカを想うととてつもなく遠く感じられます。でもスペインを南下して、ついでに目の前にあるアフリカに行くのはたやすいことです。そんな風にして夢だとしか思えなかったアフリカ(モロッコ)に行ってきたわけです。

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