人生は旅

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草刈りで失明!?

シルバー人材センターは安全配慮義務なし

 先日の朝刊の一面の見出しは『シルバー人材安全置き去り』だった。シルバー人材センターから紹介された草刈りの仕事で80歳の高齢者が片目を失明したというものだ。この記事を読んで、すぐに思ったのは草刈りぐらいでどうして失明しなければならないのか、という疑問だ。だが、その草刈りの作業が私が考えるような、誰でもできる”草刈り”ではないことが分かった。「現場は30度の急斜面、湿気で保護眼鏡が曇って足元が見えず、滑落の危険がある」過酷な環境だった。そのため眼鏡を外して作業をしていたら、左目に泥が入った。泥が目に入ったぐらいのことは普通なら何でもないことだ。 

 ところが、数日経つと激痛を感じた。病院に駆け込んで診て貰ったら、目にカビ菌が入ったとわかった。すぐに手術をしたが、その後の記述を読んで絶句した、なんと、信じられないことだが、失明してしまったのだ。人はいつなんどき、思ってもみなかった状況で失明してしまうのか、見当もつかない。気の毒なのは、不慮の事故で失明したにも関わらず、高齢者本人には何も補償がないことで、泣き寝入りをせざるを得ない状況だった。今回の事故では本人があまりにも理不尽な状況を地裁に提訴した。だから、シルバー人材センターの仕事がいかに危険なものであるのかが、浮き彫りになったのだ。

 そもそもなぜ高齢者に仕事を紹介するシルバー人材センターが敢えて、こんな過酷な仕事を請け負うのかが首を傾げたくなる。最近は年金が足りなくて、いや、そうでなくても小遣い稼ぎに登録して働こうと思う人が増えているらしい。健康のためとか、時間の有効活用とか、目的はそれぞれだが、皆シルバー人材センターなら仕事はあると思うのだろう。だが、その仕事が、想像したのとは違って危険を伴うとしたら、一体どこで働けばいいのか。もし何かあったら、すべて自己責任にされるのがおちだ。これでは楽しい老後は送れない。人生100年時代とおだてられている割には、高齢者を守る体制が少しも整っていないのが現実なのだ。自分が年金生活者になった時のことを想像するだけで、背筋がぞっとする。

 新聞によると、日常的にシルバー人材センターでの事故は多発しているらしく、私たちがその現実を知らされていないだけだ。庭木の剪定や、草刈りなどの仕事がニーズが高いが、事故も多発する傾向にある。剪定の仕事では「はしごがたおれ、大けがをすることもある」。脚立に乗っての作業中にバランスを崩し落下、頭を強く打ってしまったなどだ。また草刈りも、最近は草刈り機などの機械を使うので事故が起きやすい。

 ではなぜこんな危険な作業を高齢者にさせるのかと言うと、どこも人手不足でやり手はが少なく、センターなら安く引き受けてくれるからだ。お金が欲しいだけの高齢者は仕事を選んでなどいられないのだと言わんばかりだ。シルバー人材センターは高齢者に気軽に呑気にできる仕事を紹介してくれるところだ、なんて勝手に思っていた私には目から鱗だ。真実はまさかのそういうことだったのかとそら恐ろしくなった。となると、将来年金が足りなくなったら、シルバー人材センターにでも登録してみるか、なんてことは口に出す気にもなれない。

 話を失明の件に戻すと、日常生活や予想外の状況で失明する場面は多々あることに気づく。まさかこんなことで、とすぐには信じられないことを過去に聞いたことがあった。例えば、子供の頃、よく家に遊びに来ていた親戚の女の子は左目が義眼で見えなかった。失明した原因は公園での砂遊びだった。当時彼女は友達と砂場で楽しそうに遊んでいた。こう書くと、どうってことない、どこにでもある風景だが、その友達が何を思ったか、突然彼女の顔に砂をバサッとかけてきた。不運なことに、かけられた砂の中に硝子のカケラが混じっていたらしい。そんな訳で、彼女は失明したのだと親戚のおじさんが私に教えてくれた。

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