人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

高齢者が驚くほど元気な秘密とは

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俳句を愛する叔母から突然の電話が

 年末年始、私は敢えて長距離移動をすることに決めました。なによりこれから先が不安で、落ち着ける場所を求めていたからです。それともう一つは10万円の給付金が私の背中を押してくれたのも確かなのです。周り視線よりも自分のどうにもならない気持ちの方が勝ったわけです。叔母の家に滞在中にもう一人の叔母とも久しぶりに再会したのです。彼女は俳句をこよなく愛し、20年前に旦那さんを失くして今は気楽な一人暮らしをしているのです。自称俳人の叔母を迎えに行ったら、「あんたに騙されちゃったね」と口では言いながら、満面笑顔です。

 実は行く直前まで俳人には内緒にしていたのです、叔母の家に行くことを。なぜなら、12月も半ばになってから突然電話が来て、「感染者が増えているから、もう来ない方がいいよ。今回は中止ということにしなさい」と宣ったからです。私は当然反発しましたが、相手は物凄く怖がっているようなので無駄でした。「あれ、どうしたのだろう、この変わりようは?ついこの間はあんなにウキウキしていたのに」と驚きました。何を言っても話にならないので、その場はとにかく「わかった、そうする」と素直に電話を切ったのです。

楽天家の叔母の発想に仰天

 ひとまず「わかった」と従うふりをしたのですが、絶対行くという気持ちには変わりありません。夜にでも叔母に中止の連絡をするつもりだと言うので、すぐに電話して適当に話を合わせるように頼みました。でもひとつ困った問題が、それはすでに渡すはずのお土産を注文してしまったことです。それで叔母に電話して、後で取りに来てもらうように連絡してもらおうと思いました。あるいは、私から直接連絡する方がいいのかもと。そしたら、呆れるほど楽天家の叔母が「あと1週間ぐらいしたら、電話してみるから少し待ったほうがいい」と言うのです。これには驚きました。つまりお土産も私の荷物も届いてしまってから、実はあの子は来ることになっているとバラす計画なのです。そうなったら、相手は騙されたとわかっても後の祭りで降参するしかないのです。叔母の読みは大当たりで、俳人は急遽予定を変更して私たちに付き合うことになったのです。さぞかしびっくりしたでしょう、でも嬉しい誤算に違いありません。叔母は「あの人は間違いなく80%あんたに会いたがっているのだから」と相手の心を読んだのです。しかし私のような小心者にはこんな大胆なことをするなんて、そんな勇気はないのです。

84歳の高齢者が毎日階段を上り降り

 自称俳人は84歳の高齢者でひとり暮らしとはいっても、夜は母屋で息子の家族と一緒に食卓を囲みます。いわゆる、ひとりで暮らしてはいるのですが、実は一人ではない理想的ともいえる環境なのです。と思っていたら、それがどうも違うようなのです。これまでこの叔母とは電話やメールで連絡を取り合い、たまには会って食事もしてきました。でも彼女が実際に生活している部屋を見たことはありませんでした。この間は初めて叔母の暮らしている建物を見て驚きました。「ええ~?階段上るの?」。それは昔夫とやっていた工場の上にある事務所でした。田舎なので広い敷地があり、すぐ傍には会社の倉庫として貸し出している大きな建物もあります。その事務所に行くのには外階段を昇って行くのですが、普通の家の2階に比べて高いので、階段の数も多いのです。それに屋根もないので、雨風が激しい時は大変そうです。

 「もう年なのだから、階段を上がるのは大変じゃない?」と思ったままの感想が口から飛び出しました。すると「もう慣れたから平気」との答えが返ってきました。「ねえ、雨の時は大変じゃない!」と言ったら、「傘を差せばいいのだから」と動じません。もし、世間で言うところの高齢者がこんなところ?に住むとしたら、はっきり言ってお手上げです。足腰が弱い高齢者にはとても無理です。それなのに、「階段がキツイ」などと弱音を吐いているのを聞いたことがありません。

 それにしても、お金に困ってるわけでもないのになぜと余計なことを考えてしまいます。人にはその人なりのポリシーがあってしかるべきなのですが、高齢者には優しくない環境がもしかしたら、叔母の元気に繋がっているのかも。これまで知らなかった叔母の秘密の謎が解けたような気がしました。

mikonacolon