人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

睡眠を大切にして生きる

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと

人は眠れば眠るほど進化する!?

 先日私は去年から撮りためていたテレビ番組のビデオを見た。新聞の番組欄で紹介されいて、なんだかよさそうだと思える番組を録画予約してそのままになっていた。その番組はNHKの「サイエンスクエスト」でその時のテーマは睡眠だった。最新の研究結果から睡眠のメカニズムと未知の驚くべき効用を解き明かしていこうというもので、見終わったら目から鱗だった。すぐに後悔した、今まであんなにも眠ることをないがしろにしてきたことを。

 ”人は眠ることで進化する”、要するに、睡眠が人の思考を助け、潜在能力を最大限に引き出してくれるのだ。睡眠は単に身体を休めるだけの行為ではなく、その間も休むことなく脳は働いていてくれている。番組のゲストのいとうせいこうさん曰く、「小説が上手く書けなくて悩んでいるときに、一旦は諦めて、一晩寝たら嘘のようにいいアイデアが浮かんでくることがある」であったり、あるいは、どうしても解けなかった数学の問題の解き方がひらめいたりするのがいい例だ。”果報は寝て待て”ではないけれど、悩んでグダグダしているくらいなら、寝てしまって自分が寝ているうちに脳に何とかしてもらった方が効率がいいのだ。

 今までの人生の中で散々”眠ること”を優先順位の最下位に置いておきながら、実に惜しいことを、もったいないことをしてきたものだとつくづく思う。考えてみると、私はいつまでも起きていて夜長を楽しみたいタイプで、本当は寝たくないといつも思っていた。12時になってようやく「明日のためにも寝なきゃ」と、しぶしぶ布団の中に潜り込んだ。翌日が仕事が休みの時は当然夜更かしをし、人より長く起きていられるから得した気分だった。この自分で勝手に得したと思い込んでいるのが、とんでもない間違いだと最初に気付かされたのは、日経新聞のプロムナードのコラムだった。執筆者の名前は忘れてしまったが、その人の職業は覚えていて、たしか有名なゲームクリエイターのひとだった。その人が言うには、夜更かしをすることは次の日に負債を残すことと同じ」というものだった。誰にとっても一日は24時間で時間だけは平等にある。夜更かしをして、翌日の数時間を使ったら、それは借金のようなもので、必ずダメージとなって自分に返って来るというものだった。要するに、夜更かしはどう考えても効率が悪く、意味がないことだと言いたいのだ。

 当時はなるほどと納得したものの、時が経つにつれてすっかり忘れていた。睡眠の大切さは頭ではわかっていても、いざ実行するとなると話は別だった。だが、NHKのサイエンスクエストを見たら、眠るだけで脳が勝手に働いてくれるのだとわかって迷いは消えた。日常生活で昼間少しでも眠いと感じたら、それは睡眠不足の赤信号なので、もっと眠る必要がある。それも昼間の活動を最高のものにするための投資だと考えれば難なく実行できるはずだ。私の中にもある変化が起きた。明日のためにも、脳に目いっぱい働いてもらうためにも、早く寝ようと思えるようになった。

 いとうせいこうさんは番組のMCの織田裕二さんに言わせると、徹夜で原稿を書いているイメージがあるという。だが、当のいとうさんは徹夜などしたことがなく、むしろ8時間は寝なきゃといつも思っている人だった。それに3時間しか寝ずに書いた原稿は翌日読みかえしてみると、ロクなもんじゃなくて、書き直した経験もあったのだ。やはり人間はちゃんと寝ないと話にならないらしい。織田さんが「僕は一日に3,4時間しか眠らない人が天才かと思ってました」と言うと、睡眠を研究している東大大学院の上田泰巳教授は「その逆です」と即答していた。

 私も含めて自分には時間が足りないと感じる人が多い現代社会において、積極的に眠ろうとするには正直言って勇気がいる。だが、この番組サイエンスクエストを見た私は睡眠のメカニズムとその効用を知って、今までの固定観念を覆された。より良い明日のために眠るのだと考えたら、何の迷いもなく布団に入れるようになった。

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