人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

スロバキアで出会ったヴァイオリニスト

今週のお題「感謝したいこと」

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▲当時家族に出したスロバキアの絵葉書

予算オーバーでスロバキアに行くことに

 私が感謝したいのは、以前スロバキアに行ったときに出会ったヴァイオリニストの方です。彼は私たちの貧乏旅行に思ってもみなかった彩りを与えてくれました。

 当時ウイーンのシェーンブルン宮殿を見に行こうと旅に出たのですが、ついでにザルツブルクにも行こうと思いました。でもホテルの値段を調べてみるとやたら高いのです。最低でも4日程度は滞在したいのに予算オーバーなので行くのは諦めました。それで思いついたのが反対方向のスロバキアに行くことでした。今でこそカヌーの羽根田選手で知られるようになりましたが、当時は全くの未知の国でした。一方で、もうひとつのチェコという国にあるプラハはカレル橋で有名な人気の観光地でした。正直言って、プラハでもいいかもと思ったのですが、ここもホテルが高すぎてパスするしかありませんでした。

ケーブルカーは異臭がして

 そんなわけでスロバキアに行くしか選択肢が無くなりました。それで調べてみると東ヨーロッパのアルプスと言われる山岳地帯があるらしいのです。それにホテルも安くて、山頂にある眺めのいい山小屋にも泊まれるチャンスとあって、一気に期待が膨らみました。実際に行ってみると、ホテルはケーブルカーでしか行けないところにあり、往復にお金がかかりました。それでもそんな経験をしたことがなかったので、とても新鮮でワクワクしました。ただ気になったのは昔の日本の公衆トイレのような臭い、つまりアンモニア臭がとてもひどかったことです。いったいどうして?聞いてみるわけにもいかず、困惑するしかなかったのを今でも覚えています。

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▲これも当時友達に差し出した絵葉書

困っていたら初老の紳士が現れて

 あれは山小屋のホテルのある駅に行こうと、乗り換えをしようと思っていた時のことでした。日本なら、切符を持っていなくても降りた駅で精算をすればいいのですが、外国はどうも違うらしいのです。その場合は間違いなく罰金を取られてしまいます。そんな常識もわからなかった私は、偶然ホームに来た電車に切符もないのに乗ろうとしてしまいました。あとで何とかなると、日本にいるときの頭のままでいたわけです。私のそんな暴走を一緒に居た友達が止めてくれました。私たちのそんなやり取りを見ていたのか、ひとりの初老の紳士が声をかけてくれました。

 切符をどこで買うのかわからないと事情を話すと、階段を下りるように言われました。つまり駅の窓口に行って買うようにということなのですが、行ってみると真っ黒、いや真っ暗なのです。「あれ~?やってないの?」と思ったら、ちゃんと窓口には電気がついていて、昼間は電気を節約してエコに徹しているのです。昼間でもアカアカしている日本とは違いすぎてカルチャーショックを受けました。

救いの主はヴァイオリニスト

 ホームで出会った紳士も私たちと同じ駅に行くので、電車に乗っている間しばしおしゃべりをしました。彼はお隣のハンガリーから来たヴァイオリニストらしく、パンフレットを見せてくれるのです。見ると、そこには4人の男性の楽団の写真が載っていて、あちこちで演奏をして回っているらしいことがわかりました。本当はドイツ語が得意で、英語はあまりわからないと言いながらも、「五嶋みどりを知っているか」という質問にもちゃんと答えてくれました。五嶋みどりは素晴らしいヴァイオリニストだと賞賛し、これから行く駅にあるホールで演奏しているのだと教えてくれました。フレンドリーで優しい人で、車中で楽しい時を過ごしました。

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