今週のお題「傘」
▲外国の店でこれだけ扇子があるところも珍しい。それにしても色彩の艶やかさはまるでアートそのものだと思う。
スマホを忘れたのがきっかけに
その日私は出がけに他のことに気を取られていたのか、スマホを忘れてしまいました。田舎にある実家に行こうとして、駅の地下道を歩いていた時に忘れたことを思い出したのです。今から家に戻ろうにも時間がありません。それで向こうに着いたら家の電話に連絡すればいいやと思ったんです。列車に乗り込んでしばらくは本など読んでいたのですが、早くスマホを忘れたことを知らせなくちゃと急に心配になりました。駅前で待ち合わせをして迎えに来てもらうことになっていたからです。車内に電話でもあったらなあと思い捜していると幸運にもありました！でも専用のカードがないと使えないのです。偶然通りかかった車内販売のお姉さんに聞いたら、別の車両に自動販売機があると教えてくれました。やっと家に電話することができたのに誰も出ません。携帯に電話しようにも手帳を忘れるし、番号もうろ覚えでわかりません、後から知ったのですが、みんなで買い物に行ってから、ついでに私を迎えに行く予定だったようです。また電話すればいいか、やるだけのことはやったのだからと自分を納得させました。
お気に入りの傘に出会う
それからは長距離列車が駅についてからも、待ち合わせの駅に着いてからも何度も電話したのに家にはいないようです。待ち合わせの時間になって、もしかしたらと周辺を捜しては見たものの、それらしき車は見当たりません。それにあいにくの雨模様でだんだんと雨足が激しくなってきました。いっそタクシーで家まで行ってしまおうかとも思いました。でも真っ暗な中で空腹のまま玄関の前で待つことを考えたら、「冗談じゃない！」と身体が拒否反応を起こしました。それで、家人が家に帰って来るまで待つしかないと腹をくくり、まず空腹を満たすことにしました。だいぶへこんでいたので、そんな時はエネルギー補給が一番なのです。
実をいうと、待ち合わせた駅にはデパートも入っていて、飲食店など様々な店があるのですが、それまで一度も中を歩いたことがありませんでした。つまり、いつも電車に乗るだけで素通りしていたのです。なかなかいい店があるなあと感心していると、総菜の店を見つけたのでそこで食事することにしました。食べ終わって外に出ると、向かいの店にさわやかな水玉の傘を見つけて一目ぼれしました。すぐにも買って帰りたいがどこかに置いてきてしまう恐れがあるので、最後の日に買うことにしました。幸いなことに今でも見失わずに雨の日に大活躍しています。
▲不幸中の幸いともいえるお気に入りの傘
その後は連絡がすぐに取れて迎えに来てもらえたのですが、その道中でさんざん怒られました。「あれほど言ったのにスマホを忘れるなんて！」と怒りが収まらない様子でした。「こっちだって大変だったんだから」という言葉を飲み込んで、その場は謝るしかありませんでした。でも、結果的には知らない世界を知ることができて、いい感じの傘まで買うことができたのです。ですから自分はなんてついてるんだ！幸運なのだ！と言わずにはいられないのです。
mikonacolon
