人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

スムーザーで野菜を取る

今週のお題「マイベスト家電」

野菜を飲むという感覚で

 思えば、子供の頃はある意味で健康ブームだったのだろうか、家にはジューサーやミキサーがあった。ミキサーはその凄まじい勢いで一気に野菜や果物を丸ごとぐちゃぐちゃにしてしまった。今で言うスムージーのことだが、当時はあのドロドロ感が、我が家では敬遠された。野菜の搾りかすや果物の果肉はどう見ても食べて美味しいものだとは思えなかった。それで、重宝されたのが、ジューサーで、毎日のようにキャベツ、小松菜、ホウレンソウなどの野菜をジュースにして飲んでいた。もちろん野菜だけでは美味しくないので、甘味のためにリンゴなどの果物を入れて飲んでいた。野菜と果物だけで本当に美味しかったのか、あるいはまずくても我慢して飲んでいたのか、真相は分からない。時には牛乳を入れたり、あるいは砂糖でも入れて飲んでいたのではと勝手に想像する。

 野菜を取ると身体にいいというステレオタイプな考えから、当時の我が家の大人たちはジューサーに嵌っていた。小さく切ったキャベツやくし形のりんごをジューサーの口に放り込むとスルスルと入って行く、それが子供心に面白かった記憶がある。肝心のジュースの味は、キャベツ特有のあの青臭さはお世辞にも美味しいとは言えず、甘味のために入れたりんごは返って酸っぱさを増していた。おそらく大人たちは健康のためとかなんとか理屈をつけて、相当に我慢して野菜ジュースを飲んでいたのだろう。確かにあれだけの量の野菜を全部食べようと思ったら、大変な苦行でしかない。

 それにうちの野菜は母が家計の足しになればと育てていたもので、家の中にはいつも野菜がゴロゴロあった。考えてみると、ジューサーというのは、使っているその時はいいのだが、あとが大変だった。つまり、沢山ある部品を外して、それらをすべて洗わなければならない。部品を綺麗に洗って、乾かす、いや、面倒なので布巾で拭いてしまうのだが、その後にまたすぐ使えるように組み立てる。おかしなもので、そんな何かと手のかかるジューサーなのに当時は大活躍した。「それって本当に美味しいの?」と聞きたくなるような渋い色をしたジュースを満足そうに飲んでいる大人たちが不思議でならなかった。

 大人になって、通学や通勤で駅を利用するようになると、楽しみだったのは駅のスタンドの生ジュースだった。あの美味しさは家で作る野菜ジュースのそれとは一線を画していた。たしかバナナ、イチゴ、メロンと3種類ぐらい味があったが、なんと言ってもメロンが最高だった。ストローではなく、そのままグラスに口をつけてごくごく飲み干す。飲み終わると必ず泡が口にこびりつくので、それを舐めるのも楽しみだった。いわば、通勤途中のリフレッシュに欠かせないもので、ホッと一息付けた。

 正直言って、私はこれまで野菜ジュースとは無縁な人生を送ってきた。子供の時は周りにたまたまそういう環境が用意されていただけで、大人になってからは市販のジュースをたまに買うくらい。それもあまり美味しくないので、一切飲まなかった。だが、そんな私も時代の流れか身体のことを考えるようになって、スムージーというものがあることを知った。スムーザーなら、ミキサーとは違って、滑らかで舌触りがいいスムージーを作れるらしい。テレビの情報番組でやっていたのを見て、新しもの好きの私は早速ネットで検索した。一番気になったのは、使いやすさで、めんどくさり屋の私でも楽に洗えるものが欲しかった。

 従来の製品は使用後にやはり手間がかかりそうだったので、コンパクトでボトル式になっていて、本体に逆さに立てるだけのタイプの物がいいと思った。量販店に見に行ったら、さすがに人気があって「在庫切れです」と書いてあった。店員に聞いてみたら、いつ入荷するかは分からないと言われた。現金で買いたかったが、仕方がないのでネットで注文することにした。家にやって来たピンクのボトルのスムーザーは小柄なのにいい仕事をしてくれている。私が見つけたスムージーにお勧めのベストな甘みはバナナで、できれば糖度が高ければなおいい。

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