人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

スポーツは見る派の思い出

今週のお題「好きなスポーツ」

f:id:mikonacolon:20210819214720j:plain

▲中国の新年を祝うお祭りで龍の舞を踊っている場面。NHKまいにち中国語テキスト2月号から。

運動オンチの私がバレーボールと出会って

 スポーツはどちらかというとやる派ではなくて、見る派でした。本当のことを言うと、やりたいのですが思うようにうまくできないからなのです。つまり、生まれながらにして運動オンチなのです。子供の頃は運動神経抜群の子のよう何でもできたら、どんなに気持ちがいいだろうと思っていました。なぜ自分にはそんな能力が備わっていないのかと嘆いてみるのですがどうにもなりません。5人兄弟の末っ子だから長男長女にいい所を持って行かれてしまったのかと諦めたこともありました。小学校は運動オンチの子供にとっては地獄で、スポーツテストではソフトボール投げで苦痛を味わいました。それと運動会では気が進まないのにかけっこをしなければなりません。だから、運動会は嫌いで雨が降って中止になればいいのにといつも願っていました。

 それでも最後にやる運動会のメインイベントであるリレーを見るのは大好きでした。クラスで選ばれた足の速い子がこの時とばかりに輝く瞬間を見て、ドキドキしました。男の子も女の子も皆とびっきりかっこよすぎて、キラキラしていて眩しすぎました。風を切ってバトンを持って懸命に走る姿はまさにスターでした。勉強ができなくても、先生に怒られてばかりでも、リレーで走っている瞬間は運動会の主役なのです。

 運動神経がゼロに近い私でも「これならできるかも」と思えるスポーツに巡り合いました。中学に入った頃、部活を見学してお気楽に見えたのはバレーボールでした。あれならバスケットのようにドリブルして動きまわらなくて済みます。滅多にボールが回ってこないのですが、たまにパスを受けてボールを持つと、すぐに取られてしまうので嫌になります。部活に入ると、最初は二人一組でオーバーパスの練習をしてから次はサーブをやるのが日課でした。運動が嫌いだったのにバレーボールだけは楽しいと思えました。

 ある日、ふと見ると同級生が部長に何やら文句を言っていました。運動神経がとてもいい子だったので、練習が物足りなかったのか、普段からいつも不平不満ばかり言っていたのです。それでも部長は静かにその子の言うことに耳を傾けていました。そして、「それで、あなたはいったいどうしたいの?」と相手に意見を求めたのでした。彼女は当時中学3年生の女の子でしたが、その時の私にはすごく大人に見えてしまったのです。

 高校に入ると、もうバレーボールはしなくなりました。なぜなら高校の部活は厳しいと噂に聞いていたので恐れをなしたのです。到底練習について行けないだろうと悟ったので文化部に入ろうと思いました。高校で仲良くなった親友はバレーボール部でした。練習が厳しすぎて、傍で見ていても疲れ切っているようでした。毎日のように胃が痛いと嘆いていたし、「もうやめたい」と悩んでいました。自分が皆と同様にできないことで、先輩から睨まれていたし、「みんなに迷惑をかけてばかり」と涙を流していました。精神的にも、肉体的にもいっぱいいっぱいで追い込まれていたのでした。彼女だって本当は部活をやめたくなかったのです、でも身体が悲鳴をあげて彼女のとるべき正しい道を示してくれたのです。

 私はあるときクラス対抗のバレーボールの試合に出たことがありました。最初は自信など全くないので断ろうかと思ったのですが、「あなたなら大丈夫!」などとおだてられてやることになりました。そしたら、あろうことかサーブが上手くいって相手が取れなかったのです。全くのまぐれで点数が入ることが重なったので、だんだんと楽しくなってやる気が出てきました。他の子が私に笑いかけて励ましてくれるので、ますます面白くなりました。その結果、私たちのクラスは勝つことができたのでした。運動オンチの私がスポーツで感動を味わった唯一の体験と言えるでしょう。

mikonacolon