人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

大型書店に行ってみたら

 

海外旅行のガイドが隅っこに追いやられて

 毎月18日はNHK語学講座のテキストの発売日なので、私の足は自然と大型書店に向かった。テキストを買うついでに気になることがあったので3階の実用書のフロアーに行った。私が気になったのは、歯の健康に関することだった。エレベーターから降りて、暮らしと生活のコーナーの方に行こうとしたら、旅行ガイドの棚が目に入った。確かそれらの棚は海外旅行のガイドが置いてあるはずだったが、あろうことか自分の目を疑った。そこには国内の旅行ガイドしかなかった。どうなっているのだろうと訝って、あちこち探してみたが海外の本は見つからない。

 元々はそこはエレベーターから降りたら一番目立つ場所で、海外の旅行ガイドの棚には人が大勢いつもいたはずだ。国内旅行よりは断然海外の方が魅力的だからなのだろう。ところが、今は政府の全国旅行支援の影響もあってか、書店の方も国内旅行に力を入れているらしい。追い風に乗って、ガイド本がどんどん売れるのが理想だが、その日だけかもしれないが、棚が並んでいる空間には閑古鳥が鳴いていた。私が書店に行ったのは街が人で溢れる頃合いのお昼だったので、以前だったらとても考えられなかった。

 私はどうしても海外旅行のガイド本がどこに行ってしまったのか気になった。まさか、撤去したのか、でもそんなはずはなかった。捜し回ったらようやく見つかった。それもそのはず、あまり人が行かない壁際の棚に近い場所で、しかも棚と棚との間が狭い空間に追いやられていた。先ほどの国内旅行のガイド本にスポットライトが当たっているとしたら、海外旅行のそれらは影の場所に置かれていた。なんて薄暗いのだろうと嘆いていたら、そこには数人の人たちがガイド本を立読みをしていた。私は彼らを発見して、自分と同じことを考えている人たちがいるのだと安堵した。だが私の今の心境ではまだガイド本を買うところまで、いやガイド本を手に取るところまで行きたい気持ちは高まってはいない。正確に言うと、行こうという決断にまで至らないというのが正直な気持ちだ。いつかそのうち行こう、思っているだけではなく、実現に限りなく近い形での切なる願いなのだ。

 決断するには越えなければならない段階がいくつもある。まず最初は、以前にも書いたが、躊躇することなく行けるための環境整備で、具体的には言葉の問題だ。どこに行ってもとりあえずば万能な言語は英語だから、3年ぶりに英語の勉強を再開した。日常生活はもちろん、仕事でも英語から離れた環境にいると自然とやる気を失った。別に困らないのだから、やらなくてもまあいいかと自分の気持ちを封鎖した。だが、今回英語の勉強を再開して驚いたことがある。3年もの間距離を置いていたせいか、その反動なのか、嘘のように勉強が楽しいと感じる。以前はちっとも進歩しない自分の英語力に嫌気がさしていたが、今は知らない単語や表現を知るのが楽しくて仕方がない。

 たぶん自分の英語力がだいぶ錆びついていると承知の上でやっているから、気にならないのだろう。以前はNHKのラジオ英会話を聞くだけで済ませていて、講師の大西先生のジョークに大笑いしたり、時には呆れて寒い思いもしていた。だが、現在では番組の内容をノートに実際に書き取って理解するようにしているので、なおさら楽しい。先日も日本語ではよく使う「自分は内向的だけれど、兄は外向的なんです」といった表現を英語ではどう言うか、を知ることができた。英語では考えたこともなかったが、内向的を意味する単語は introvert で、外交的は extrovert なのだとわかった。

 そんなわけで、私の毎日は未知の英語の単語と表現を学んでいるおかげで、ワクワクくする発見の連続だ。これから一日一日を焦らずに歩んで行ったら、どんな景色が見えるのだろう。記憶の定着のために睡眠をとるように心がけでいるからだろうか、今までどうしても覚えられなかった単語や文がスルスルと頭に入ってくる。頭に入るから楽しいのか、楽しいから頭に入るのか、そんなことはまあどうでもいいのだが。私には目から鱗の体験なのだ。

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